仙石浩明の日記

2008年4月15日

ビデオキャプチャ・カード GV-MVP/RX2W を使って Linux 2.6.24.4 でテレビ録画 hatena_b

ついに Linux 2.6.24 で I-O DATA 製 ハードウェア MPEG-2 エンコーダ搭載TVキャプチャボード GV-MVP/RX2W (2006年7月5日生産終了) が標準カーネルのままでテレビ視聴が可能になった。 もはやカーネルのバージョンを上げるたびにパッチを当て直す必要はない。 仕様が公開されていないハードウェアを解析してドライバを開発し、 それを標準カーネルにマージすべく働き掛けた方々の努力に敬意を表したい。

この TVキャプチャボードのおかげで、 私はリアルタイムでテレビを視聴する習慣を無くすことができた。 録画したものを見れば「飛ばし読み」や「斜め読み」が可能だし、 1TB のディスクに録りだめしておいて優先順位をつけて見ることもできる。 ニュースやスポーツ以外であれば放送日に見る必要はそもそもないし、 下らないと判明した時点で視聴を打ち切って 別の録画した番組を見るようにすれば、 駄作をだらだらと見続けて時間を無駄にすることもない。

この手のハードウェアは、 Linux などのオープンソースな OS で動いてこそ真価を発揮するのだと思う。 視聴方法は人によって様々であるから、 全てのユーザニーズを満たすような万能なソフトウェアを、 ハードウェアメーカが製品出荷時に開発することなど、 そもそも無理な話ではないのか?

ハードウェアメーカはドライバ (あるいはハードウェア仕様) の公開だけにとどめ、 ソフトウェアの開発は他者に任せてはどうか。 餅は餅屋というではないか。 一つの万能ソフトウェアより、 ニーズに応じて単機能なソフトウェアを使い分ける方が合理的だし、 さらに言えばどんな OS 上でそのソフトウェアが動いて欲しいかは、 ユーザによって異なるだろう。

例えば私の場合、 24時間365日、安定して録画し続けることが最優先であるし、 「使い易い」グラフィカルなユーザインタフェースよりは、 perl スクリプトから 自由にコントロールできることのほうが重要である。 私もノートPC では Windows VISTA を使用しているが、 録画サーバの OS に Windows を使う気にはなれない。

GV-MVP/RX2W は生産終了になって久しく、 後継の GV-MVP/RX3 や GV-MVP/GX2W はまだ Linux では使えないらしい (はたして地上アナログ停波までに使えるようになるだろうか?)。 I/Oデータの製品は Linux で使えないことが多いので注意が必要だろう。 Windows のみ対応しているハードウェア製品だと、 サポートが打ち切られて Windows の新 OS に対応しなくなった段階で、 使うことができなくなってしまう (サポート終了を理由に VISTA 対応版を出していないハードウェア製品は多い)。 もっとも、メーカ側からすると早く使えなくして、 新製品に買い換えてもらいたいのだろうが。

なお冒頭で「パッチを当て直す必要はない」と書いたが、 GV-MVP/RX2W には DeEmphasis (DEM) モードを設定すると常にモノラル音声になるという問題がある。 標準カーネルでは DEM ON がデフォルトになっているので、 Linux 2.6.24.4 に以下のパッチをあてて、 DEM OFF をデフォルトにしてみた。 このパッチをあてることにより、 デフォルトで二か国語/ステレオ放送の録画ができるようになる。

--- linux-2.6.24.4.org/drivers/media/video/tda9887.c        2008-01-25 07:58:37.000000000 +0900
+++ linux-2.6.24.4/drivers/media/video/tda9887.c        2008-04-13 11:41:30.232518786 +0900
@@ -227,8 +227,7 @@
                 .name  = "NTSC-M-JP",
                 .b     = ( cNegativeFmTV  |
                            cQSS           ),
-                .c     = ( cDeemphasisON  |
-                           cDeemphasis50  |
+                .c     = ( cDeemphasisOFF |
                            cTopDefault),
                 .e     = ( cGating_36     |
                            cAudioIF_4_5   |
Filed under: ハードウェアの認識と制御 — hiroaki_sengoku @ 07:57

3 Comments

  1. x86_64 な Linux カーネルで i386 プログラムを実行するときの注意点 ── ivtv ドライバの ioctl インタフェース

    64bit Linux (x86_64 別名 amd64) は、
    CONFIG_IA32_EMULATION を有効にしておくことにより、
    32bit プログラム (i386 別名 ia32) を走らせることができる。
    したがって 64bit へ移行する際は、
    全プログラムを一度に 64bit 化する必要はなく、
    まずカーネルだけ 64bi…

    Comment by 仙石浩明の日記 — 2008年5月12日 @ 09:12

  2. 質問です。

    I-O DATA 製 ハードウェア MPEG-2 エンコーダ搭載TVキャプチャボード GV-MVP/RX2W (2006年7月5日生産終了) が標準カーネルのままでテレビ視聴が可能になった。

    とのことですが、どのようにすればテレビ視聴出来るのでしょうか?

    よろしくお願いします。

    Comment by 近藤史人 — 2016年8月7日 @ 06:10

  3. 「どのようにすれば?」 というのは 「質問」 とは言えないと思います。質問者が何が分からないのかこの質問からでは何も分からず、回答する側は文字通りすべてを説明しなくてはなりません。つまりそれは 「回答」 ではなくて解説です。コメント欄に書くようなレベルではないのはもちろん、ブログの記事としても長くなりすぎる恐れがあります。

    「質問」 と呼ぶに値するのは、質問者がどこまでは理解していて何がネックになっているか明らかにしている質問です。そういう質問であれば、回答者は 「ネック」 の部分だけに限定して答えることができますし、そのネックを解消することさえできれば質問者の側もそれ以降は自力で問題を解決することができるでしょう。

    この 「回答」 にご不満だと思いますが、私がこの 「質問」 を無視することも可能だったということにどうかご留意願います。私自身、 「質問する能力」 は非常に重要な能力と考えていて、今回いただいたご質問は、どんな質問がダメな質問かを示すいい機会と考え、あえて反発覚悟で 「回答」 してみることにしました。
    http://www.gcd.org/blog/2008/04/398/

    「質問とは言えない質問」 に対し、 「回答とは言えない回答」 で返した理由をご理解いただけますと幸いです。

    もし仮に、何がネックになってるか分からないのであれば、それは私が 「無知の無知への 3ステップ」 で書いた 「第2 のステップ」 に該当します。 「第3 のステップ」 に症状が進行してしまう前に気づくことをお祈り申し上げます。
    http://www.gcd.org/blog/2010/04/576/

    Comment by hiroaki_sengoku — 2016年8月7日 @ 09:09

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