実践で学ぶ、一歩進んだサーバ構築・運用術

ドメイン・ネーム・システム(DNS)は, インターネットの根幹を支えるシステムです。 DNSを理解することはインターネット・サーバーの運用に欠かせません。 連載第2回目の今回は, ネーム・サーバーの2つの種類とセ キュリティに配慮したネーム・サーバーの構築について解説します。

第 2 回 ネームサーバ (前編)

社宅から賃貸マンションへ引っ越しました*1。 社宅に4年も住んでいたので荷物の多さは覚悟していたのですが, 後から後からガラクタが発掘され, 引っ越し前日に徹夜をしても結局すべての荷作りは終わりませんでした。 引っ越し業者の冷たい視線の中, 段ボール箱にどんどんガラクタを投げ入れて, どうにか搬出完了までには大部分のこん包が済みましたが, 運び損なってしまったものもかなりあり, 後で社宅とマンション間を車で何往復もして運ぶ羽目に陥りました。

話をややこしくしたのは, OCNエコノミーの移転です。 当初のもくろみでは, ネットワーク関係をすべて引っ越し先のマンションで再構築して, DNSの伝播*2が完了した後, 現在のOCNエコノミーを解約して, 引っ越ししようと思っていたのですが, OCNエコノミーは申し込みから開通まで1カ月もかかるということで, 引っ越しの方が先になってしまったのです。

つまり, 引っ越し作業中も社宅でサーバーを動かし続ける必要があるわけですが, 部屋中に電話線やらEthernetケーブルが張り巡らせてある状態で 引っ越し作業ができるはずはないので, サーバー,ルーター,TA(Terminal Adapter), 電話等のネットワーク関係を部屋の片隅の半畳程度の部分に再構築し, 作業中絶対にこの部分には近付かないよう*3 引っ越し業者の方にお願いすることにしました*4。

ところが, 半畳程度の部分と言っても元々狭い部屋ですからそんなスペースはありません。 スペースを作るにはまず食器棚を移動する必要があるのですが, それには食器をこん包しなければなりません。 しかし食器をこん包してしまっては生活できませんから, この作業は引っ越し前日に行うほかありません。

問題はもう1つありました。 電話線がたんす等の重量物の裏を通っていて, しかもたんすで隠れている部分で壁にしっかり固定してあったので, たんすを動かさない限りは電話線の張り直しができなかったのです。 結局, 電話線を(ショートしないよう気を付けながら)切断して, はんだでつなぎ直すはめに陥りました*5。

*1
家賃が約10倍になりましたので,果たして生活できるのか心配です。
*2
IPアドレス等のネーム・サーバーのデータの変更が インターネット全体に伝わること。 通常1日程度で完了しますが, 確実を期すには1週間程度必要です。
*3
サーバーのスイッチに触れるだけで電源が落ちてしまうので要注意なのです。
*4
サーバーが落ちること無く搬出が無事完了して, ほっとしていたら引っ越し業者が社宅を出るとき ブレーカを落とそうとしたので焦りました。
*5
こんなことやってるから,徹夜してもこん包作業が終わらなかったのでしょうね。
*6
例えば *.jp は JPNIC,*.com,*.org,*.net は NetworkSolutions, Inc. 等。
*7
前回説明したように, OCNエコノミーの費用の一部を賄うため, 会員を募って作った任意団体のことです。 GCD は Greatest Common Divisor(最大公約数)の略です。 はるか昔, 私が NIFTY-Serve(現,@nifty)の会員だったころの私のハンドルに由来します。
*8
JPNIC の場合, 申請がDNSへ反映されるまで約1日,Network Solutions, Inc. の場合で 4〜5日かかるようです。

大変なドメイン登録

引っ越し先でOCNエコノミーが開通したら, 次に問題になるのはドメイン登録業者*6 への変更申請です。 GCD*7の場合, 多数のドメインを収容していますから, 申請を出すだけでも結構大変です。 さらに今回の場合, 引っ越し元の社宅の明け渡し期限があるのですが, ドメイン登録業者によっては変更が完了するまで数日かかる*8 ので, 期限までに変更が完了できるのかドキドキします。

私の場合は, 既に登録済のドメインの情報を変更したのですが, これから常時接続しようとする人の場合は, ドメイン登録業者に新規ドメインの登録依頼をすることになります。 いずれにせよドメイン登録業者に申請を行う必要があるわけですから, まずこのドメイン登録について説明しましょう。

ドメイン・ネーム・システム(DNS)

ネーム・サーバーの 2 つのタイプ

(仙石浩明)

ライターから


連載 第 3 回 「ネーム・サーバ (後編)

連載 第 1 回 「ここまでできる充実環境


本稿は日経Linux 2000 年 5 月号に掲載された、 実践で学ぶ、一歩進んだサーバ構築・運用術, 第 2 回「ネームサーバ (前編)」を日経BP 社の許可を得て転載したものです。

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