仙石浩明の日記

2018年3月8日

配当金領収証の上限は 100万円、複数枚でも簡易書留で送付できるらしい 〜 祝 KLab(株) 初配当 (特別配当 9円) 〜

株式の配当金って、 (特に手続きしなければ) 郵便為替 (正確に言うと、 株式会社ゆうちょ銀行が発行する配当金領収証) を利用することがほとんどだと思いますが、 金額が大きくなっても郵便為替を使うのかなぁ? と日頃からギモンに思っていました。

「領収証」って名称ですが、為替証書の一種です。 株主届出印を押印して郵便局へ持っていくと換金できます (身分証明書の提示が必要)。

そんなある日、 KLab株式会社から 「定時株主総会招集ご通知」 と題する簡易書留郵便が届きました。

「ご通知」 を簡易書留で?
不審に思いつつ受け取って開封すると...
3枚の配当金領収証が出てきました。(@_@)

KLab Dividend

「配当金領収証」の上限って 100万円なんですね、初めて知りました。 配当金の額面は 255万円余り (税引き前は 320万円余り) なのに、 簡易書留 (5万円が上限) で送れるとは、 ちょっとビックリ。

送金できる金額は、 配当金領収証1通につき100万円までです。 100万円を超える送金は、 配当金領収証を発行することで行えますが、 追加する配当金領収証の枚数に応じた料金がかかります。

もっと金額が大きくなると、どうなるんだろう?

その企業の役職員の場合や、法人株主宛の場合は、 さすがに郵便為替ということはないと思うのですが、 個人株主宛の場合は、 どんなに高額でも (事前に手続きしない限り) 郵便為替を使うんですかねぇ?

- o -

18年前の 2000年7月末、 (株)ケイ・ラボラトリー (当時の社名) への出資金として 300万円を振り込みました。

シティバンク銀行 (現 SMBC信託銀行PRESTIA) 虎ノ門支店で、 虎の子の 300万円をおろしたものの、 目と鼻の先にある東京三菱銀行 (現 三菱東京UFJ銀行) 虎ノ門支店まで現金を持っていくのが怖くて (引ったくりに遭ったらどうしよう?)、 840円もの振込手数料を払って振り込んだのが思い出されます。

Citibank JPY3M

1年後にどうなってるか分からない会社 (実際、かなり危うい時期が何度かありました) にポンと 300万円もの大金を投じた当時の私 (← 株式会社日立製作所から転職したばかりの 33歳でお金持ってません) もビックリですが、 それから 18年たって、 出資した額以上の配当金 (税引き前 320万円余り) を出せる会社に成長したのもビックリです。

今回の配当金の総額は 3億3500万円だそうですが、 創業当時の資本金が 3億円でした。

正確に言うと創業時の私の出資分に対する今回の配当金は 162万円 (税引き後は 129万円ほど) です。 創業時 1株 5万円だったので、 私が出資した 300万円は 60株になったのですが、 2004年10月30日に 1株が 2株に分割、 2011年4月21日に 1株が 300株に分割、 2012年1月31日に 1株が 5株に分割しました。 つまり、 創業時の 1株が 3000株になったので、 私の 60株は現在の 18万株になったわけです。 今回の特別配当は 1株あたり 9円ですから、 9円 * 18万株=162万円ですね。

もっとも、 創業当時とは全く異なる事業の会社になってしまいましたが、 全く異なる会社に脱皮できたからこそ今の成長があるのでしょう。

初の配当おめでとうございます。 そして、 ありがとうございました。 株主の一人として、また創業者の一人として御礼申し上げます。

Filed under: 元CTO の日記 — hiroaki_sengoku @ 23:04
2017年8月11日

ZenFone3 で撮影した写真ファイル内の、位置情報が壊れている Exif データを修復するコードを書いてみた

昨年発表された ASUS のハイエンド スマホ ZenFone 3 Deluxe ZS570KL の購入時の OS は Android 6.0 Marshmallow だが、 この OS (UL-Z016-WW-4.12.40.1698) の標準のカメラ アプリには、 撮影した写真の位置情報が他のアプリで参照できないというバグがあった。

つまり、 カメラの設定で 「場所サービス」 を 「オン」 にすると、 撮影した場所 (GPS などの位置情報) を写真ファイルに付加する (Exif データ) が、 この位置情報に問題があって、 他のアプリで写真を見ても位置情報が表示されない。 例えば撮影した写真を Google フォトへアップロードしても、 撮影場所が表示されない

browsed with Gallery Application

この写真を Google フォトからダウンロードしてみれば、 Exif データ内に位置情報が保持されていることが分かるし、 アプリによってはこの位置情報を参照できるものもある。

例えば OS 標準の 「ギャラリー」 アプリで見ると、 位置情報が正しく保持されているように見える。 例えば、 御成町の交差点で撮影したこの写真を 「ギャラリー」 で見ると (右図 ⇒ ZenFone のスクリーンショット)、 場所が 「鎌倉市, 御成町」 と正しく表示される。

位置情報を正しく表示できるアプリがある以上、 バグではなく仕様 (Exif のバージョンの違い?) の可能性もある。 このとき私は、 この写真の位置情報を参照できないアプリは、 アプリ側にも問題があるのだろうと思ってしまった。 おそらく開発元でも同様の理由で、 このバグが見逃されてしまったのだろう。

More...
Filed under: Android,プログラミングと開発環境 — hiroaki_sengoku @ 22:09
2017年7月26日

カナダで Project Fi を使ってみた 〜 現地でプリペイドSIMを買うより安いし、同時に複数のスマホで使える hatena_b

昨年に続いて今年も、 日本の梅雨 (と夏の暑さ) から逃れるべく バンクーバーに滞在した昨年の滞在では fido, WIND, Virgin のプリペイド SIM を買ったが、 今年 1月に米国を訪れたとき Project Fi を契約したので、 Project Fi の SIM をバンクーバーでも使ってみた。

Project Fi は米国外で使っても (米国内で使う場合と同じく) データ通信が $10/GB (1MB あたり 1セント) という、 リーズナブルかつシンプルな料金体系。 カナダだと、 何故かキャリアのプリペイド SIM を買うより安くつく。 カナダでは Telus や Bell の通信設備を使ってローミングサービスしているようだが、 Telus や Bell のプリペイド SIM よりも料金が安いのは何故なのか?

バンクーバーのいたるところにキャリアの店舗があるので、 適当に入ってみた店で、 「いま Google の Project Fi を使っているのですが、 Project Fi より安くなるプランありますか?」と (もちろん英語で) 聞いてみたら、 「Project Fi みたいに安いプランはありません!」 と即答されてしまった。(^^;

しかも、 Project Fi の大きな特徴として、 追加料金無しで Data-only SIM を 9枚まで追加できる。 妻のスマホに Data-only SIM を入れておけば、 Project Fi 一契約だけで (私と妻、二人分の) 用が足りてしまう。 Data-only SIM を 9枚入手すれば、 10人で共有できる?

なお、 Project Fi の (通話可能な) SIM は、 Pixel や Nexus に入れて使うことが推奨されているが、 ふつうのスマホに入れても通話やデータ通信が可能。 私はバンクーバー滞在中ずっと、 ZenFone 3 Deluxe (ZS570KL) に入れていた。 もちろん Pixel も持ってはいるのだが、 ZenFone のほうがメモリが多く、 また root 権限を取得済なのでいろいろ使い勝手が良い。

もちろん、 いくら安くても通信速度が遅ければ意味がないので、 その時は現地でプリペイド SIM を買うつもりでバンクーバーを訪れたのだが、 Project Fi でもしっかり LTE の電波をつかんでくれた。 昨年使った fido や Virgin のプリペイド SIM と比べてなんら遜色がない (WIND は 3G のみ)。 結局 27日間のバンクーバー滞在で、 一度も現地 SIM を買おうという気にはならなかった。

Project Fi のページで確認すると、 7月の 24日間のデータ通信量が 7.36GB (私が 2.62GB、妻が 4.75GB) だった。 ホテルの Wi-Fi が使い物にならないほど遅かったので、 ホテルに居るときまで Project Fi を使うことになり、 ふだん日本で 1ヶ月に使うデータ通信量より多くなってしまった。

最近のアプリ (特に facebook, twitter, Instagram など) は、 画像や動画をストレスなくどんどん表示するために、 勝手にどんどん通信するのでいかがなものかと思う (私はこの手の通信しまくりアプリは一切インストールしない)。 滞在したホテルは 「無料 Wi-Fi 完備」 をうたっていたが、 宿泊客がこの手の通信しまくりアプリを使うためか、 夕方以降は全くといっていいほど通信できなくなってしまっていた。

日ごとのデータ通信量は次のような感じ:

Project Fi Current cycle

日によってばらつきが大きいが、 平均 300MB くらい。 二人分なのでこんなもの? 7.364GB で $73.64 (約 8250円)。 国際電話の通話料が 21分間で $4.20 (約 470円)。 さらに Project Fi の基本料金 $20 と税金等 ($6 くらい?) がかかる。 まだ請求が来ていない (〆日は 8月2日) が、 合計 $104 くらい?

Project Fi で、 カナダから米国の toll free 番号に電話できるのか? と思いつつ 1-888 から始まる電話番号に電話したら繋がったので、 てっきり無料通話かと思って安心して長電話してしまった。 有料なら繋がらないで欲しい (>_<)。 繋がらなければ、 米国外からかけるときに使えるコレクトコール番号を使ったのに。
1分あたり 20セントという国際電話料金は、 ケータイの通話料の感覚からすると安いが、 Google Voice の感覚からすると高い。 ZenFone 3 に Project Fi の SIM を入れて通話したのだが、 Pixel (あるいは Nexus 5X) に入れて通話すれば無料だったのかも?
少なくともハングアウトで発信していれば無料だった。

昨年のバンクーバー滞在は 14日間と今年の半分の日数だったが、 fido の SIM に CA$89.60 (約 7900円)、 Virgin の SIM に CA$72.79 (約 6400円)、 WIND (現 Freedom Mobile) の SIM に CA$72.80 (約 6400円) 支払った。 もし今回 Project Fi がなくて昨年と同様にプリペイド SIM を買っていたら、 昨年の倍、4万円近くかかってしまったかもしれない。

カナダでは、 どのキャリアも 1GB 程度使おうとすると、CA$70 以上かかってしまう。 各キャリア横並びの料金で、 格安SIM 登場前の日本みたいな感じ。 キャリア間の競争がないのかも? どの月額プランを選ぶかでデータ通信の課金レートが変わってくるので、 最適な月額プランを選ぶのが難しい。

これに対し Project Fi は、 どんなに使っても 1MB あたり 1セントの単一課金レートなので分かりやすいし、 課金レートだけ比較すると、 カナダのどのキャリアよりも安い (例えば比較的安価な Virgin でも 2¢/MB)。

ただし Project Fi はプリペイド SIM ではなくポストペイ SIM なので、 米国に住所がないと契約が難しいかも? 私の場合はホテルの住所で契約することができた。 私は米国の銀行が発行したクレジットカードで払っているが、 日本のクレジットカードで契約できるかどうかは不明。

また、ポストペイなので当然だが、 使わなくても毎月基本料金 ($20 と税金等が $3 ほど) がかかる。 日本でもローミングサービスが利用できるが、 日本だと 1¢/MB という課金レートは (格安 SIM と比べると) 安いとは言えず、 常用には向かない。

日本に居るときは基本料金が無駄になるなぁ、 $23 というのは無駄に払う額としては安くないなぁ、 と思いつつ (今年 1月に) 契約したのだが、 実は Project Fi の契約は一時停止できる。

一時停止中は、 データ通信ができないのはもちろん、 通話の着信もできなくなるが、 いまどき通話なんてできなくても困らない。 Google Voice の番号は他にも持ってるし。 :-)

というわけで今年 3月1日に一時停止した。 停止/再開は Project Fi の Web ページからいつでも可能。 3ヶ月後に自動で再開してしまうが、 その直後に停止すれば基本料金はほとんどかからない。 3ヶ月後の 5月30日に自動再開したが、 6月4日に停止し、 バンクーバーを訪れる直前 6月27日に再開し、 日本に帰国してから停止した。 自動再開した直後に停止することさえ忘れなければ (自動再開を知らせるメールが届くので見落とさなければ大丈夫)、 使っていない期間の基本料金をほぼゼロにできる。

More...
Filed under: Android,SIM — hiroaki_sengoku @ 21:48
2017年4月19日

ZenFone3 Deluxe を Nougat 7.0 にしたらデータ通信できなくなった 〜 アンロックして Android 6 に戻す 〜 hatena_b

Nexus 5X が突然壊れて以来、 私はメインのスマホとして ZenFone 3 Deluxe ZS570KL を使っている。 購入時の OS は Android 6.0 Marshmallow だったが、 今年 3月にシステム更新のお知らせが表示されたので、 更新を行なったら Android 7.0 Nougat WW-5.14.44.1898 になった (3月26日)。

ところが!

この更新によって通話もデータ通信もできなくなってしまった。 LTE ネットワークへ接続できなくなっていて、 アンテナ・ピクトも表示されない (バツ印が付く)。 最初 SIM の接触不良を疑ったのだが、 SIM を入れ直しても接続できないまま。

更新作業は Wi-Fi のあるところ (自宅) で行なうわけで、 (モバイル) データ通信できなくても Wi-Fi でデータ通信できるから気付きにくい。 まさか更新で通話やデータ通信ができなくなってしまっているとは思わないので、 翌日 (3月27日) も気付かずに出かけてしまい、 出先でデータ通信できないことに初めて気付いて往生した。 出かける前に気付いていれば、 昔のスマホ (Nexus 5X とか) に SIM を入れ替えて使うこともできただろうに。

LTE で接続できないなら、 W-CDMA で接続してみてはどうだろう?と思ったので、 設定メニューで 「モバイルネットワーク」 を選び、 「有線ネットワークタイプ」 を 「2G/3G/4G」 から 「2G/3G」 へ変更 (つまり LTE 接続を抑制) してみた。 すると無事 3G (W-CDMA) ネットワークへ接続して (アンテナ・ピクトが表示されて) 通話ができるようになった。 しかし 3G でもデータ通信はできない。

もちろん、 SIM を別のスマホに入れると何の問題もなく通話もデータ通信もできるので、 SIM や設定の問題ではなく、 Nougat な ZS570KL の問題。

この時点では ZS570KL の root 権限を取得していなかった (まだブートローダをアンロックしていなかった) ので、 できることは限られている。 仕方ないので、 設定メニューの 「バックアップとリセット」 で 「データの初期化」 を行なってみると、 LTE へ接続できるようになった (3月28日)。

Android のバージョンを上げるたびに初期化を強要されてはかなわないと思いつつも、 いちおうこれで一件落着なのだが、 せっかく初期化したのだから、 この機会に (自分流にカスタマイズする前に) ブートローダをアンロックすることにした。

昨年 9月11日に発売開始した ZS570KL だが、 アンロックの方法を ASUS が公開したのは半年近くが経過した 2月16日になってから。 アンロックツール ZS570KL_UnlockTool_V1.1.zip が ASUS の Driver & Tools ページからダウンロードできる。

ASUS UnlockTool

アンロックを行なうとデータの初期化が行なわれてしまうので、 アンロックするならカスタマイズする前の方がいい。 本当は購入直後にアンロックするのが一番なのであるが、 当時はアンロックツールが (少なくとも公式には) 公開されていなかったので、 いままでアンロックせずに使い続けてきた次第。

ASUS のページからダウンロードした zip ファイルを展開して得られた UnlockTool-9.0.0.29_ZS570KL.apk を ZS570KL へインストールして実行すると、 警告画面 (→ 右図) が表示される。

アンロック (ロック解除) すると一切の保証が無くなるだけでなく、 ソフトウェアのアップデートも受けることができなくなると書いてある。 もちろん、 同ページから最新のソフトウェアをダウンロードすること自体は (ロック解除とは関係なく) 可能なので、 ここで言う 「ソフトウェアのアップデート」 とは、 あくまで自動で行なわれる更新のことだろう。

「押してデバイスのロック解除を行う」 を押すと、 再起動と初期化が行なわれる。 これでブートローダがアンロックされ、 ボリューム大ボタンを押しながら電源を入れると、 ブートローダ・モードへ入ることができる。

Nexus 等のブートローダ・モードは、 起動する OS を選べたりするが、 ZS570KL のブートローダ・モードは、 通常の起動画面 (ASUS ロゴ) と変わらず、 ブートローダ・モードに入ってるか外見上は区別できないので注意が必要。 ZS570KL と USB ケーブルでつないだ PC 上で fastboot コマンドを実行することで、 任意のブート・イメージ (TWRP など) を起動したり、 フラッシュメモリへ書込んだりすることが可能。

きちんと動作する ZS570KL 用の TWRP がちょうど公開されていた (3月19日, これ以前のバージョンは画面が逆になるなど、いろいろ不具合があった) ので、 ZS570KL をブートローダ・モードにした上で、 fastboot コマンドを使って起動してみる:

$ fastboot boot twrp-3.1.0-0-Z016D-20170319-N.img 
downloading 'boot.img'...
OKAY [  0.777s]
booting...
OKAY [  0.394s]
finished. total time: 1.171s
$ 

ちょっと使ってみた限りでは、 問題無く使えるようだ。 早く TWRP 公式ページからダウンロードできるようになることを望む。 TWRP を ZS570KL の recovery パーティションへ書込んでおくと、 ボリューム小ボタンを押しながら電源を入れることで、 (PC とつながなくても) TWRP を起動できる。

$ fastboot flash recovery twrp-3.1.0-0-Z016D-20170319-N.img 
target reported max download size of 536870912 bytes
sending 'recovery' (19980 KB)...
OKAY [  0.777s]
writing 'recovery'...
OKAY [  0.021s]
finished. total time: 0.797s
$ 

アンロックしたらついでに root 権限も取得したくなるのが人情なので、 SuperSU v2.79 SuperSU-v2.79-201612051815.zip を TWRP からインストールした。

と、 ここまでは順調だったが、 ある日 (4月4日) 出先で唐突にデータ通信できなくなった。 外出中にデータ通信できなくなると往生する (前述したように 3月27日に体験済み) ので、 こんなこともあろうかと ZS570KL には普段使っている IIJmio の nano SIM の他に、 非常用として Aeon Mobile の micro SIM も入れていた。 電話の着信は両方の SIM で可能 (DSDS, Dual SIM Dual Standby) で、 電話の発信とデータ通信は、 どちらの SIM で行なうか選ぶ方式。 データ通信を Aeon Mobile へ切り替えると、 無事データ通信できた。

なぜ Aeon Mobile ではデータ通信できるのに、 IIJmio ではできないのだろう? と思いつつも、 IIJmio でもアンテナ・ピクトは表示されるし、 IIJmio の電話番号に着信できるので、 そのまま使い続けた。

もちろん、 Aeon Mobile なら他の SIM でもデータ通信できるのか?とか、 micro/nano どちらの SIM トレイに入れるかでデータ通信の可否が変わるのか?とか、 いろいろ確認したいことはあり、 その都度いろんな実験をしている。 が、結論から言えばいずれも直接の関係は無さそうだった。 わざわざ他キャリアから Aeon Mobile へ MNP して新たに nano SIM を作ってみたがデータ通信できなかったし、 IIJmio や mineo の nano SIM にゲタを履かせて micro SIM トレイに入れてもデータ通信できるようにはならなかったし、 nano SIM トレイでも例えば香港3 の nano SIM なら (ローミングで) データ通信できた。

そんなある日 (4月13日)、 IIJmio の電話番号へ電話がかかってきたので出たら、 音声が互いに聞こえなかった。 驚いて Aeon Mobile で通話実験したら、 Aeon Mobile でも着信/発信ともに音声が聞こえなくなっていた。

少なくとも 4月11日までは普通に通話できていたので、 2日間の間に何があったか思い出そうとしたが全く心当たりがなかった。 ある日突然、通話できなくなるなんてことが起きると大変困る。

# 4月21日追記: TWRP で DSP をリストアすると発症するらしい。
# 音声が聞こえない症状については Nougat への更新とは無関係だった。

データ通信ができないのはモバイル・ルータを持ち歩くことで対処できるが、 通話ができないのでは話にならない。 直ちに ZS570KL の使用を中止し、 IIJmio SIM を Pixel に入れて Pixel を持ち歩くことにした。 Pixel は Band 19 をサポートしていないので docomo (の MVNO) では使いにくく、 (日本では) あまり使っていなかった。

というわけで ZS570KL の使用を中止したので、 さらに思いきった実験ができるようになった。 手始めに再度初期化してみることにした。 今回は root 権限を取得済なので、 バックアップ/リストアが手軽にできる。 初期化してデータ通信が復活すれば、 徐々に設定を変えていくことで原因の切り分けも可能だろう。

ところが!

初期化したのに IIJmio のデータ通信は復活しなかった (4月14日)。 通話も着信/発信はできるけど音声が伝わらない。 ZS570KL 単体の問題ではなくて、 LTE ネットワークとの相性も関係あるのか? ますます何が原因なのか分からなくなってしまった。

初期化ではなく Nougat をクリーン・インストールすれば、 通話もデータ通信も元通りできるようになるのかもしれない。 しかしいつ同じ症状が再発しないとも限らない。 突然データ通信できなくなったり、 音声が聞こえなくなったりするようでは安心して使えない。 しかもこの Nougat にはメニューボタンが使えないという (私にとっては) 重大なバグもある (本来は 「ASUS カスタマイズ設定」 でマルチタスクボタンの長押しでメニューを表示するように設定できるはずだが、 この Nougat では機能しない)。

通話やデータ通信ができなくなるのはおそらくバグだろうし、 メニューボタンのほうは明らかにバグ。 ついでに言うと、 カメラが EXIF に記録する位置情報が壊れていて、 他のソフト (Googleフォトを含む) で位置情報が認識できないというバグもある。 そのうち修正版が公開されるのだろうと思っていたが、 Android 7 Nougat WW-5.14.44.1898 が公開されてから一ヶ月がたつのに何も発表されない。 ASUS はバグを認識していないのか?

# 4月19日追記: WW-5.14.44.2096 が公開された。が、症状は変わらず (>_<)

事ここに至っては Nougat の使用を諦め、 Android 6 Marshmallow に戻すしかないと決断した。 といっても、 バージョンを戻す方法は (ASUS 公式には) 提供されていない。 が、 アンロックした ZS570KL であれば、 フラッシュメモリに直接書込めるので、 Marshmallow のイメージを書込めばよい。 つまりクリーン・インストール。

このブログを書いていて (いまごろ orz) 気付いたが、 上記 TWRP のダウンロードページ に、 「Downgrade_to_4.12.40.1698」 というディレクトリがあった。 Android 6 に戻したいという (私と同様な) 人が多いのだろう。

まず ASUS の Driver & Tools ページから Marshmallow の最後のバージョン WW-4.12.40.1698 の zip アーカイブをダウンロード。これを展開する:

senri:~/ZS570KL $ unzip UL-Z016-WW-4.12.40.1698-user.zip
Archive:  UL-Z016-WW-4.12.40.1698-user.zip
signed by SignApk
 extracting: system.patch.dat        
  inflating: META-INF/com/android/metadata  
  inflating: META-INF/com/google/android/update-binary  
  inflating: META-INF/com/google/android/updater-script  
  inflating: boot.img                
  inflating: file_contexts           
  inflating: firmware-update/NON-HLOS.bin  
  inflating: firmware-update/adspso.bin  
  inflating: firmware-update/cmnlib.mbn  
  inflating: firmware-update/cmnlib64.mbn  
  inflating: firmware-update/devcfg.mbn  
  inflating: firmware-update/emmc_appsboot.mbn  
  inflating: firmware-update/hyp.mbn  
  inflating: firmware-update/keymaster.mbn  
  inflating: firmware-update/mdtp.img  
  inflating: firmware-update/pmic.elf  
  inflating: firmware-update/rpm.mbn  
  inflating: firmware-update/tz.mbn  
  inflating: firmware-update/xbl.elf  
  inflating: logs/version            
  inflating: system.new.dat          
  inflating: system.transfer.list    
  inflating: META-INF/com/android/otacert  
  inflating: META-INF/MANIFEST.MF    
  inflating: META-INF/CERT.SF        
  inflating: META-INF/CERT.RSA       
senri:~/ZS570KL $ 

zip アーカイブの中の boot.img が android のブート・イメージ。 このファイルの中に、 Linux カーネルと initramfs が含まれている。 これを boot パーティションへ書込む:

senri:~/ZS570KL $ fastboot flash boot boot.img
target reported max download size of 536870912 bytes
sending 'boot' (13305 KB)...
OKAY [  0.524s]
writing 'boot'...
OKAY [  0.021s]
finished. total time: 0.545s
senri:~/ZS570KL $ 

zip アーカイブの中の firmware-update ディレクトリ下の 13個のファイルが、 ブートローダ等のファームウェア。

拡張子が *.bin のファイル (2個) はファイルシステムのイメージ。 NON-HLOS.bin は /firmware ディレクトリに、 adspso.bin は /dsp ディレクトリに、 それぞれ読み取り専用でマウントされる。 どちらも AMSS モデム関連のディレクトリ。 NON-HLOS.bin は modem パーティションへ、 adspso.bin は dsp パーティションへ、 それぞれ書込む:

senri:~/ZS570KL $ fastboot flash modem firmware-update/NON-HLOS.bin
target reported max download size of 536870912 bytes
sending 'modem' (81916 KB)...
OKAY [  3.166s]
writing 'modem'...
OKAY [  1.895s]
finished. total time: 5.060s
senri:~/ZS570KL $ fastboot flash dsp firmware-update/adspso.bin
target reported max download size of 536870912 bytes
sending 'dsp' (16384 KB)...
OKAY [  0.652s]
writing 'dsp'...
OKAY [  0.401s]
finished. total time: 1.053s
senri:~/ZS570KL $ 

拡張子 *.mbn は multi-boot binary ファイル (8個) で、 ARM の ELF (Executable and Linkable Format) オブジェクト。 keymaster.mbn と cmnlib.mbn は 32bit の共通ライブラリで、 keymaster は証明書の暗号鍵を管理する。 cmnlib64.mbn は 64bit の共通ライブラリ。

rpm.mbn と emmc_appsboot.mbn は 32bit ARM の ELF 実行ファイル。 rpm は 「resources & power manager」 を意味し、 プライマリ・ブートローダの役割を果たす。 emmc_appsboot はセカンダリ・ブートローダで、 このブートローダが android のカーネルを起動する。

残りの devcfg.mbn, hyp.mbn, tz.mbn は 64bit ARM の ELF 実行ファイル。 機能の詳細は分からないが、 devcfg は device config、 hyp は hypervisor、 tz は trust zone のことだと思われる。

詳細不明なファイルが多いが (^^; 以上 8個の *.mbn ファイルを、 それぞれ対応するパーティションへ (emmc_appsboot.mbn は aboot パーティションへ、 それ以外はファイル名と同じ名称のパーティションへ) 書込む:

senri:~/ZS570KL $ fastboot flash cmnlib firmware-update/cmnlib.mbn
target reported max download size of 536870912 bytes
sending 'cmnlib' (200 KB)...
OKAY [  0.029s]
writing 'cmnlib'...
(bootloader) partition_need_check.
OKAY [  0.030s]
finished. total time: 0.060s
senri:~/ZS570KL $ fastboot flash cmnlib64 firmware-update/cmnlib64.mbn
target reported max download size of 536870912 bytes
sending 'cmnlib64' (254 KB)...
OKAY [  0.030s]
writing 'cmnlib64'...
(bootloader) partition_need_check.
OKAY [  0.030s]
finished. total time: 0.061s
senri:~/ZS570KL $ fastboot flash devcfg firmware-update/devcfg.mbn
target reported max download size of 536870912 bytes
sending 'devcfg' (39 KB)...
OKAY [  0.040s]
writing 'devcfg'...
(bootloader) partition_need_check.
OKAY [  0.030s]
finished. total time: 0.070s
senri:~/ZS570KL $ fastboot flash aboot firmware-update/emmc_appsboot.mbn
target reported max download size of 536870912 bytes
sending 'aboot' (749 KB)...
OKAY [  0.047s]
writing 'aboot'...
(bootloader) partition_need_check.
OKAY [  0.030s]
finished. total time: 0.077s
senri:~/ZS570KL $ fastboot flash hyp firmware-update/hyp.mbn
target reported max download size of 536870912 bytes
sending 'hyp' (257 KB)...
OKAY [  0.038s]
writing 'hyp'...
(bootloader) partition_need_check.
OKAY [  0.030s]
finished. total time: 0.069s
senri:~/ZS570KL $ fastboot flash keymaster firmware-update/keymaster.mbn
target reported max download size of 536870912 bytes
sending 'keymaster' (220 KB)...
OKAY [  0.032s]
writing 'keymaster'...
(bootloader) partition_need_check.
OKAY [  0.030s]
finished. total time: 0.062s
senri:~/ZS570KL $ fastboot flash rpm firmware-update/rpm.mbn
target reported max download size of 536870912 bytes
sending 'rpm' (224 KB)...
OKAY [  0.039s]
writing 'rpm'...
(bootloader) partition_need_check.
OKAY [  0.030s]
finished. total time: 0.069s
senri:~/ZS570KL $ fastboot flash tz firmware-update/tz.mbn
target reported max download size of 536870912 bytes
sending 'tz' (1600 KB)...
OKAY [  0.084s]
writing 'tz'...
(bootloader) partition_need_check.
OKAY [  0.030s]
finished. total time: 0.114s
senri:~/ZS570KL $ 

拡張子 *.elf は 64bit ARM の ELF 実行ファイル (2個)。 *.mbn との違いは不明 (誰か教えて!)。 pmic.elf は power management IC のこと? xbl.elf は eXtended bootloader のことだろう。 それぞれ対応する同名のパーティションへ書込む:

senri:~/ZS570KL $ fastboot flash pmic firmware-update/pmic.elf
target reported max download size of 536870912 bytes
sending 'pmic' (41 KB)...
OKAY [  0.040s]
writing 'pmic'...
(bootloader) partition_need_check.
OKAY [  0.030s]
finished. total time: 0.070s
senri:~/ZS570KL $ fastboot flash xbl firmware-update/xbl.elf
target reported max download size of 536870912 bytes
sending 'xbl' (1780 KB)...
OKAY [  0.090s]
writing 'xbl'...
(bootloader) partition_need_check.
OKAY [  0.034s]
finished. total time: 0.124s
senri:~/ZS570KL $ 

mdtp.img は Mobile Device Theft Prevention のこと? ファイルの形式すら不明だが、 mdtp パーティションへ書込む:

senri:~/ZS570KL $ fastboot flash mdtp firmware-update/mdtp.img
target reported max download size of 536870912 bytes
sending 'mdtp' (8086 KB)...
OKAY [  0.324s]
writing 'mdtp'...
OKAY [  0.218s]
finished. total time: 0.542s
senri:~/ZS570KL $ 

以上で zip アーカイブの中の firmware-update ディレクトリ下の 13個のファイルの書き込みが完了した。

そして、 zip アーカイブの中の system.new.dat と system.transfer.list が、 android を起動したときに /system にマウントされる ext4 ファイルシステムのイメージ。 つまり Android OS の本体。 3.6GB ほどあり、 zip アーカイブの中の他のファイルと比べてケタ違いに大きい。

一般にファイルシステムのイメージは、 データが無い部分が散在する 「疎なファイル」(sparse file) になる。 フラッシュメモリに書込むときに、 データが無い 「0」 ばかりのブロックを書込むのは効率が悪いので、 「0」 なブロックを飛ばしたデータのファイル system.new.dat と、 そのデータをフラッシュメモリのどこへ書込むか指定するファイル system.transfer.list に分かれている。

残念なことに fastboot コマンドは system.transfer.list を扱えないので、 あらかじめ system.new.dat と system.transfer.list から ext4 ファイルシステムのイメージを作成しておいて fastboot コマンドに与える必要がある。 sdat2img コマンドを使うと、 system.new.dat と system.transfer.list から、 (疎な) イメージ system.img を作成できる:

senri:~/ZS570KL $ sdat2img system.transfer.list system.new.dat system.img
sdat2img binary - version: 1.0

Android Marshmallow 6.0 detected!

Copying 32770 blocks into position 0...
Copying 2 blocks into position 33009...
Copying 32016 blocks into position 33519...
Copying 2 blocks into position 65536...
Copying 32257 blocks into position 66046...
Copying 2 blocks into position 98304...
Copying 2 blocks into position 98545...
Copying 32016 blocks into position 99055...
Copying 2 blocks into position 131072...
Copying 32257 blocks into position 131582...
Copying 2 blocks into position 163840...
Copying 2 blocks into position 164081...
Copying 32016 blocks into position 164591...
Copying 2 blocks into position 196608...
Copying 32257 blocks into position 197118...
Copying 2 blocks into position 229376...
Copying 2 blocks into position 229617...
Copying 32016 blocks into position 230127...
Copying 2 blocks into position 262144...
Copying 32257 blocks into position 262654...
Copying 2 blocks into position 294912...
Copying 2 blocks into position 295153...
Copying 32016 blocks into position 295663...
Copying 2 blocks into position 327680...
Copying 32257 blocks into position 328190...
Copying 2 blocks into position 360448...
Copying 32257 blocks into position 360958...
Copying 2 blocks into position 393216...
Copying 32257 blocks into position 393726...
Copying 2 blocks into position 425984...
Copying 32257 blocks into position 426494...
Copying 2 blocks into position 458752...
Copying 32257 blocks into position 459262...
Copying 2 blocks into position 491520...
Copying 32257 blocks into position 492030...
Copying 2 blocks into position 524288...
Copying 32257 blocks into position 524798...
Copying 2 blocks into position 557056...
Copying 32257 blocks into position 557566...
Copying 2 blocks into position 589824...
Copying 32257 blocks into position 590334...
Copying 2 blocks into position 622592...
Copying 32257 blocks into position 623102...
Copying 2 blocks into position 655360...
Copying 32257 blocks into position 655870...
Copying 2 blocks into position 688128...
Copying 32257 blocks into position 688638...
Copying 2 blocks into position 720896...
Copying 32257 blocks into position 721406...
Copying 2 blocks into position 753664...
Copying 32257 blocks into position 754174...
Copying 2 blocks into position 786432...
Copying 32257 blocks into position 786942...
Copying 2 blocks into position 819200...
Copying 2 blocks into position 819441...
Copying 32016 blocks into position 819951...
Copying 2 blocks into position 851968...
Copying 32250 blocks into position 852478...
Copying 2 blocks into position 884736...
Copying 2 blocks into position 884977...
Copying 32016 blocks into position 885487...
Copying 2 blocks into position 917504...
Copying 2820 blocks into position 918014...
Copying 2 blocks into position 950272...
Copying 24508 blocks into position 950782...
Copying 7689 blocks into position 975291...
Skipping command zero...
Skipping command erase...
Done! Output image: ~/ZS570KL/system.img
senri:~/ZS570KL $ 

そして、作成した (疎な) system.img を system パーティションへ書込む。 fastboot コマンドは、 与えられた system.img が疎なファイルであることを認識し、 まず system パーティション全体を erase した後、 必要なブロックのみを ZS570KL へ転送して書込んでいる:

senri:~/ZS570KL $ fastboot flash system system.img
target reported max download size of 536870912 bytes
Invalid sparse file format at header magi
erasing 'system'...
OKAY [  0.002s]
sending sparse 'system' (513215 KB)...
OKAY [ 20.270s]
writing 'system'...
OKAY [  4.815s]
sending sparse 'system' (524224 KB)...
OKAY [ 20.871s]
writing 'system'...
OKAY [  5.201s]
sending sparse 'system' (523318 KB)...
OKAY [ 20.565s]
writing 'system'...
OKAY [  4.793s]
sending sparse 'system' (486869 KB)...
OKAY [ 19.371s]
writing 'system'...
OKAY [  4.688s]
sending sparse 'system' (513436 KB)...
OKAY [ 20.188s]
writing 'system'...
OKAY [  4.710s]
sending sparse 'system' (512989 KB)...
OKAY [ 20.225s]
writing 'system'...
OKAY [  4.705s]
sending sparse 'system' (506575 KB)...
OKAY [ 20.021s]
writing 'system'...
OKAY [ 22.541s]
sending sparse 'system' (67808 KB)...
OKAY [  2.684s]
writing 'system'...
OKAY [  0.475s]
finished. total time: 196.124s
senri:~/ZS570KL $ 

「header magi」 とは何ぞ? 東方より来たりし三賢者? と思ったら、 「header magic」 と表示しようとしてるのだけど、 fastboot コマンドの内部のバッファの大きさが 1 バイト足らなくて、 1 文字欠けてしまったらしい (まあ magic の語源は magi なので当たらずとも遠からじだが)。 system/core/libsparse/sparse_read.c を見ると、

static void verbose_error(bool verbose, int err, const char *fmt, ...)
{
        char *s = "";
        char *at = "";

…… (中略) ……

                size = vsnprintf(NULL, 0, fmt, argp);

…… (中略) ……

                at = malloc(size + 1);

…… (中略) ……

                vsnprintf(at, size, fmt, argp);

…… (中略) ……

                if (err == -EINVAL) {
                        sparse_print_verbose("Invalid sparse file format%s%s\n", s, at);

…… (中略) ……

struct sparse_file *sparse_file_import(int fd, bool verbose, bool crc)
{

…… (中略) ……

        if (sparse_header.magic != SPARSE_HEADER_MAGIC) {
                verbose_error(verbose, -EINVAL, "header magic");
                return NULL;
        }

などと書いてある。 せっかくメッセージの長さを調べて、 ちゃんと 1 バイト大きい (size + 1) バッファを確保しているのに、 vsnprintf の第2引数に (size + 1 ではなく) size を与えているために、 最後の 1 文字が欠けてしまうというバグ (>_<) どうしてこんな単純なバグが放置されているのか?

system/core/libsparse/sparse_format.h によると、 「sparse file format」 というファイル形式があって、 その magic (フォーマット識別子) は 0xed26ff3a であるらしい。 それなら何故 system.new.dat と system.transfer.list というファイル形式を使っているのだろう? sparse file format にすれば 1つのファイルで済むように思われるのだが...

max download size (前述の例だと 536870912 bytes) を超えるファイルを書込もうとすると、 fastboot はそのファイルが 「sparse file format」 であることを期待して、 magic が違うと 「Invalid sparse file format at header magic」 と表示する。

この場合、 通常のファイルとして読み込み直して、 内部で 「sparse file format」 へ変換するコード (sparse_read.c) になっている。 この場合、 そのファイルが疎か否かは関係なく、 単に 1ブロックが全て同じ値かどうか調べているので、 (疎でない) 通常のファイルを与えた場合も、 必要なブロックのみを転送して書込む仕様になっていた。

以上で、 Android 6.0 Marshmallow WW-4.12.40.1698 のクリーン・インストールが完了した (4月14日)。 数日間使っているが、全く何の問題も起きていない。 3月27日に問題が発覚してから 19日間、 さんざん苦しめられていたのが嘘のようだ。 もっと早く Marshmallow へ戻せばよかった。 OS のメジャーバージョンを上げるときは、 元に戻す方法を確認してからにすべきと改めて痛感した。

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Filed under: Android — hiroaki_sengoku @ 11:04
2016年8月3日

カナダで fido と WIND と Virgin のプリペイド SIM カードを買ってみた

8年ぶりのバンクーバー。 前回来た (2008年5月) 後にバンクーバーオリンピック (2010年) があって、 街がいろいろ変わってた。 オリンピックが終わっても不動産バブルはドンドン膨らみ続け、 巨大なビルがドンドン建てられている (が、テナントは入らず既にバブル崩壊状態?)。

でも、 それに負けず劣らず大きく変わったのがネット環境。 2008年5月当時はスマホがまだ一般的でなく (iPhone 3G の発表は 2008年6月)、 通信手段と言えばモデムだけ。 ホテルの部屋に LAN は無く、 公衆無線LAN も部屋には届かず、 かろうじていくつかのカフェで Wi-Fi が利用できたので、 わざわざカフェまで行ってネットにアクセスしていた (2008年なので Advanced W-ZERO3[es] で)。 滞在中ほとんどネットにアクセスできなかった (しかもホテルでさえネット無し!) なんて、 今から思うと考えられない。

ちなみに 2008年当時でも、 ワイキキなら多くのホテルは部屋まで LAN が来ていたし、 ホテルの部屋から公衆無線LAN でネットにアクセスすることもできた。 2008年くらいにもなるとモデムを使う羽目に陥ったことは皆無だったはず。 米国のホテルでモデムを使ったのは 2005年くらいが最後だったと思う。

8年前に泊まったホテルも、 今回のホテルも、 ロブソン通 (Robson St) に面していてすぐ近く。 8年前と違うのは周囲にケータイ屋が溢れている点。 ホテルを出てちょっと歩き回ってみるだけで、 fido, WIND, Virgin, Telus, Bell, Rogers など、 ほとんど全てのキャリアのお店を見つけることができた。 ホテルから歩いて最初に見つけた fido に入ってみる。

Fido Solutions

Fido Solutions は Rogers の子会社。 fido という名前の有名な犬がイタリアにいたらしい。 空襲の犠牲となった主人を14年間待ち続けたイタリアの忠犬フィド (イタリア語だと 「フィド」 だけど、 英語では 「ファイド」 と読むようだ)。 この犬にちなんで fido のロゴには犬小屋が描かれている。

fido のプリペイドSIM には、 月額 (By the Month) プラン ($15.75, $25.75, $30, $35, $45, $55, $60, $70) と従量 (By the Minute) プランと一日 (By the Day) プランがある。 もちろん 「$」 はカナダドル、以下同様。 月額プランのうち $15.75 〜 $35 のプランと、 一日プランは通話&SMS のためのプラン (例えば $35 の月額プランは 500分の通話が含まれていて SMS は無制限に使える) で、 データ通信に関しては従量プランと同じ。 したがってデータ通信がメインで SMS は使わない人 (= 私) にとっては、 $15.75 〜 $35 の月額プランや一日プランは (従量プランと比べて) メリットが無く、 従量プランあるいは $45 以上の月額プランが選択肢となる。

従量プラン$15.75$45$55$60$70
ローカル通話40¢/分30¢/分含300分含500分無制限無制限
長距離通話80¢/分70¢/分45¢/分45¢/分無制限無制限
夜間通話放題無し無し5pm-7am5pm-7am全日全日
国内SMS30¢/通無制限無制限無制限無制限無制限
国際SMS35¢/通無制限無制限無制限無制限無制限
データ通信要アドオン要アドオン400MB
5¢/MB
750MB
5¢/MB
1GB
2¢/MB
2GB
2¢/MB

もちろん「¢」はカナダセント、以下同様。 従量プランにはデータ通信が含まれていないので、 アドオンとして以下のデータパッケージを追加することが必須。 $45 以上の月額プランではこのアドオンを追加することはできない。

データ量月額料金超過料金
100MB$1015¢/MB
500MB$205¢/MB
1GB$305¢/MB

2週間の滞在で 1GB くらいは通信するだろうから、 選択肢としては $60 の月額プランか、 従量プランに 1GB のアドオンを追加するか、 の二択。 前者だと 1カナダドル=約80円なので 4800円くらい。 米国とかと比べると 1G で 5000円近くというのは割高感がある。 後者はそもそも 40¢〜80¢/分という通話料が高すぎ。 迷った末に $60 の月額プランを選んだ。

ところが、 支払う段階になってさらに 「Minimum Refill Amount Required $10.00」 が必要と言われる。 しかも消費税 12% が加わって、 しめて $78.40 (約 6300円)。 う〜ん、 これで 1GB しか使えないというのは高いなぁ。 「Refill Amount」 って言ってるけど、 残高 (balance) には加算されない。 預り金 (デポジット) みたいなもの? SIM 代と言ってくれたほうがスッキリするなぁ。

従量プランだと通話 1分 40¢ も課金される。 滞在中に残高を気にしながら電話するのはちょっとなぁ (残高が足らなくなってきたら refill しなきゃならない)、 と思ったので月額プランを選んでしまったのだけど、 多くても一日 5回くらいしか電話しなかったので、 2週間の滞在で合計 50分もいくかどうか。 最初に $20 くらい refill しておけば充分だった。 私の場合、 長距離通話の必要はないし、 SMS もほとんど使わない (ハングアウト等のチャットアプリを使えば済む)。

従量プランでデータ通信する場合は、 アドオンとしてデータパッケージを購入する。 1GB が $30 なので、 通話料が $20 とすれば合計で $50、 つまり従量プランのほうが $10 ほど安くなる。 滞在期間が短い場合や、 通話をあまりしない場合は、 従量プランを選択すべき。

SIM を Nexus 5X に入れてアクティベートしてもらうと、 無事 LTE が使えた。 fido は Rogers の通信設備を利用しているので LTE は Rogers と同じ Band 4 (1700/2100 MHz) と Band 7 (2600 MHz) そして現在展開中の Band 12 (700 MHz, Band 17 を内包する) が利用できる。 3G は Band II (1900 MHz) と Band V (850 MHz)。 いずれも Nexus 5X はサポートしている。

2週間の滞在で通信量を 1GB に収めようとするとかなり節約しなければならない。 Wi-Fi が使えるところでは Wi-Fi を使い、 ホテルでは Nexus 5 を Wi-Fi ルータとして使い (後述)、 できるだけデータ通信量を節約したのだけど、 ほとんど初めての土地 (8年前に来たけどほとんど忘れてた) だとどうしても Google Maps を見ることが多くなりがちで、 1日 100MB くらいは使ってしまう。 10日目くらいで通信量が 1GB を超えてしまった。

月額 $60 のプランだと、 1GB を超えたぶんは 1MB につき 2¢課金される。 仮に 1日に 100MB 使えば $2 になる。 たかが $2 と思うかもしれないが、 月額プランは残高ゼロのままで使えるのがメリットなのに、 課金が発生すると refill しなければならず面倒。

というわけで、 せっかく月額プランにしたのに、 結局 refill することになってしまった。 残高を気にして refill することになるなら、 最初から 40¢/分の通話料を払う従量プランにすればよかった。 なお、 従量プランに 1GB のデータパッケージを購入した場合は、 1GB を超えたぶんは 1MB につき 5¢課金されるので、 (1MB につき 2¢の) 月額プランより 2.5倍高く、 月額プランの意味がないとまでは言えない。

クレジットカード払いで (オンライン) refill する場合は、 カナダの住所でないとダメ。 というのも、 クレジットカード会社に登録している住所を入力する必要があるのだけど、 国名が 「Canada」 固定で変更できない (州もカナダの州から選ぶ選択式だし、 郵便番号はカナダ式でないとエラーになる)。 ところが、 クレジットカード会社に (その) 住所で認証を求めるらしい。 クレジットカード会社の判断次第というところもあるけど、 多くのクレジットカード会社は住所が異なっていると承認しない。

INTERAC Online を使う方法もあるらしいが、 Scotia Bank, RBC (Royal Bank), TD (Bank of Canada), BMO (Bank of Montreal) のいずれかに口座がないとダメ。

結局のところカナダ在住者でないかぎり refill カードを買うしかない、 ということのようだ。 これは fido に限らず他のキャリアでも同じ。 日本からの旅行者が refill カードを買うしかない、 というのは分からなくもないが、 お隣の米国から来た人でさえそうだというのだから、 いかがなものかと思う。 SIM の有効期限が切れてしまうから一刻も早く refill したいが、 それには何百キロも走ってカナダへ行ってくるしかない、 なんて笑えない話も米国にはあるようだ。

refill カードは買った日から 30日間しか有効でない (未確認) ので、 買いだめしておくわけにもいかない。 国によっては、 買ってから一年くらいは (何年も?) 有効な refill カードもあるのに、 カナダのキャリアはどうしてこう融通が効かないのだろう? ちなみに米国のキャリアも、 クレジットカード払いで refill する場合は SSN が必要だったりするので非居住者にはハードルが高いが、 幸いキャリア以外から refill カードを買うことができる (支払は PayPal が利用できる)。

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Filed under: SIM — hiroaki_sengoku @ 11:55
2015年11月24日

自分戦略 〜 なぜ成功できないのか? hatena_b

昨年に続き、 今年も立命館大学で 2, 3回生の学生さん達に講義する機会を頂きました。 就職を目前にした学生さんが自分の進路を考えるにあたって、 社会人の話を聞いて参考にしようという趣旨のカリキュラムのようです。 私は 8人目、 ちょうど真ん中あたりだそうです。

「社会人の話」 というと実際にどのような仕事をしているかとかの、 会社視点の話が多くなりがちだと思いますし、 学生さん達もそういう話を期待していると思うのですが、 あいにく私は現在は働いていません (^^;)。 会社を辞めたのは 2011年ですが、 それまでの 11年間も取締役だったので、 いわゆるサラリーマン的な働きかたをしていたのは 15年以上も昔 (前世紀!) の話で、 すでに忘却の彼方です。

こんな状況で仕事の話はできるわけはなく、 ならばいっそと、 会社視点の話はヤメにして会社と対峙する一個人の視点からお話ししました。 会社で研究者・技術者としてバリバリ専門的な仕事をしている人たちの話とは毛色が違いすぎて、 戸惑っている学生さん達も多かったようですが (40代で働いていない、 というのは学生さんにとってそれなりのインパクトがあるようです)、 学生さん達がこれからの人生を考える上で多少なりとも参考になれば幸いです。

これから社会人になろうとする学生さん達がまずやるのは 「自分探し」 「自己分析」 で、 さらに自分のこれからの人生を切り拓くための戦略を考えたりするそうです。 「自分戦略」 をググると、 「自分のやりたいことを明確にし、それを実現するための手段を練ること」 などと出てきます。

私が学生の時、 自己分析したり戦略を練ったりしてたかなぁ? ぜんぜん思い出せません。 コンピュータにのめり込んでコンピュータを自作してしまったり、 授業そっちのけでソフトウェア開発のアルバイトに没頭したりした記憶はあるのですが、 将来のことなど考えたことは無かったように思います。

私が新卒で就職したのはバブル崩壊真っ只中の 1992年です。 就職氷河期 (1993年〜) に入る直前にギリギリ滑り込みました。 その後の世代と比べれば恵まれた時代だったのでしょう。 とはいえ、 就職でラクをしたぶん昨今ではバブル世代と揶揄されて、 厳しい社会人生活を余儀なくされている人も多いようですが。

そんな中で私が今でもラクできているのは何故なのか? 振り返ってみると、 将来のことを考えなかった割に、 実はとても 「戦略的」 な人生を歩んできたように思います。 「結果論」 とか 「後講釈」 のように見えるかもしれませんが (^^;)、 私の実例を 「単に運が良かっただけ」 と切り捨てるか、 「自分戦略」 として参考にすべき点があるか、 判断は読者のみなさんにお任せします。

私と違って、 いまの学生さん達は 「自己分析」 とかに余念がなく、 それはとても結構なことだと思うのですが、 「自分のやりたいこと」 ってそんなに明確ですか? 「なりたい自分」 と 「やりたいこと」 を混同してませんか? 私にとって 「研究者」 は 「なりたい」 職業でしたが、 研究は 「やりたいこと」 ではありませんでした。 (アルバイトの経験を除けば) まだ働いたこともないのに、 これからどんな仕事をしていきたいのか明確なはずはないと思うのです。 自己分析をすればするほど分からなくなる、 あたりが関の山じゃないでしょうか?

で、 実際の会社選びとなると、 (学生さん達の間で) 人気がある企業とか、 初任給 (or 平均給与) が高くて福利厚生がよい企業とか、 職場環境がよい企業とか、 ブラック企業は何としても避けなければとか、 「自分戦略」 というお題目とは裏腹に、 えらく近視眼的で、 自分の将来どころか数年先すら見通せていないのが現状ではないでしょうか?

自分戦略?

・ 「自分のやりたいことを明確にし、
   それを実現するための手段を練ること」
・ やりたいこと?
  - 将来も、やりたいことが変わらないのか?
  - 何が向いているかも定かでないのに
・ やりたいことをやって、その後は?
  - 体力が衰えて同じようには働けなくなる
・ とりあえず給料の高い会社へ就職
  - 福利厚生・職場環境がいいところ?
  - 社会貢献できるところ?
・ 将来どころか数年先すら見通せていない
3

初任給が高くてもその後の昇給ペースが遅ければ意味がないし、 平均が高くても自分の給料が平均以下なら意味がないし、 平均が低くても自分の給料が高ければ問題無いわけです。 職場環境だって、 会社の中での立場が変われば変わってきます。 新卒入社一年目の社員から見れば快適な職場環境が中堅社員から見ると最悪だったり、 極端な話、 誰が自分の上司になるかで大きく変わることもあります。

そもそも、 現在の 「やりたいこと」 を一生続けたいですか? みなさんが今から 10年前、小学生だった時に 「やりたい」 と思っていたことが、 今でも 「やりたいこと」 なのか考えてみれば明らかでしょう。 今から 10年後には、 今とは全然違うことが 「やりたい」 と思っているかもしれません。

「やりたいこと」 を一生続ける?

・ やってみたら実際は違った
  - プログラミングじゃなくてニーズの汲み上げ
  - 経験を積むと嗜好は変わる / 体力は落ちる
・ そもそも幸せな人生とは?
  - ネガティブにならないこと
  - ネガティブの根本にはいつもお金の問題
  - お金の召使いになってはいけない
・ 年功序列の崩壊
  - 「やりたいこと」 だけでは老後破綻一直線
  - みんなが年金を頼ると国家破綻一直線
5

それなら、 今 「やりたいこと」 よりも、 「やりたい」 ことを見つけた時に、 それを 「やれる」 自由度こそが重要ではないでしょうか?

社会人を何年もやっていれば、 予想できない偶発的なことがいろいろ起きます。 その中には自分のキャリアを大きく左右するような事象もあることでしょう。 その偶発的な事象を 「計画的に導くこと」 で、 自分のキャリアを良いものにしていこうという考え方が、 ジョン・D・クランボルツの 「計画的偶発性理論」 です。

成功者を見ると、 「あの人は運が良かった (だけ)」 と思ってしまい、 運に恵まれない自分は決して同じようにはなれないと、 諦めてしまう人が多いのだと思いますが、 運が良くてもその運を活かせなければ成功できません。 「運に恵まれない」 のではなく、 せっかく訪れたチャンスに気付いてないだけかもしれませんよ? 「チャンスは備えあるところに訪れる」 のです。

人生には分岐点が沢山あります。 たとえ八方塞がりに思えるドツボな状況に陥ってしまっていても、 その後の分岐点で最適な選択さえできれば、 ピンチが逆にチャンスになったりします。 ただしそれは、 分岐点に選択肢の幅が十分にあればの話です。

ところが大多数の人はこの 「選択肢」 を進んで捨ててしまいます。 「やりたいこと」 があっても、 いろいろ言い訳 (「時間がない」 「お金がない」 「自分の今の実力ではムリ」 等々...) して挑戦を躊躇います。 ぐずぐずしているうちに歳をとり、 選択肢がどんどん狭まっていくわけです。 なにごともやってみなきゃわからないと思うのですが、 やるまえから 「どうせダメに決まってる」 と諦めてしまっていては選択肢は広がらず、 成功を遠ざけてしまいます

また、 実際やってみてダメだったとしても、 果敢に挑戦することによって新たな選択肢が現れてきます。 まさに失敗は成功の元ですね。 「運が良い人」 というのはそうやって 「運を引き寄せる」 のです。

(戦略1)
選択肢を減らさない

・ 「自分のやりたいこと」 って明確じゃない
  - 「自分探し」 は時間の無駄
  - いろいろ学ぶと興味が持てることが変わってくる
  - やりたいことは手当たり次第やってみるべき
・ リスクを取らないリスク
  - 「みんなと同じ」 はリスク最大
  - 歳をとるごと選択肢は容赦なく減っていく
・ 別の道へ変更する選択肢は残しておく
  - 最悪の事態を常に想定する
・ 計画的偶発性理論
  - チャンスは備えあるところに訪れる
6

選択肢を減らさないようにして (戦略1) 運を引き寄せることができたら、 次に必要になるのが運を活かす能力です。 多くの業界において一番重要な能力は 「論理的に考える力」 でしょう。 ところが現代の学校教育は、 この 「考える力」 を伸ばす点においてあまり有効ではないようです。

より正確に言うと、 考える材料をたくさん提供している点においては有効なのですが、 それはあくまで元々考える習慣を持っていた学生さんに対してのみ言えることであって、 義務教育の課程で考える習慣を身につけることができなかった学生さんは、 高等教育において、 ますます考えなくなってしまうという悪循環に陥っています。

極めつけは、 会社選びで 「自分の気持ちを大切に」 などと言う人ですね。 自分の将来という一番合理的に考えなければならない時に、 それも高等教育をちゃんと受けた人が、 「自分の気持ち」 すなわち感情を優先するなんてアリエナイと思うのですが、 いったん考えなくなってしまった人たちは、 自分の気持ちに従うことをオカシイとは思えなくなってしまうようです。

誰でも (どんなに地頭のいい人でも) 一人では考える力を伸ばすことはできません。 なぜなら 「考えたつもり」 に陥って、 そこで思考停止してしまうからです。 自分の考えを他人に話したり書いたりして、 他人から何らかの反応 (批判とか) を受け取って初めて考えるきっかけが生まれるのです。 自分の考えを文章にしてみるだけでも、 自分がどのくらい考えているか (あるいは考えていないか) 分かる場合もあるでしょう。

たとえば、 「答がある問題を解いているだけでは考える力を伸ばせない」 と言ったりしますが、 なぜ 「答がある問題」 じゃダメなのか考えたことはありますか? 「現実の社会は答が無い問題ばかりだから」 という説明で満足してしまっていたとしたら要注意です。 現実社会の問題に答が無いからと言って、 答がある問題を解く練習が役に立たないことにはならないですよね? 中途半端な説明で満足してしまっているのは、 「分かったつもり」 そのものです。

だから、 授業を聞いているだけではダメなんです。 分かっているつもりで聞いていても、 いざそれを自分の言葉で表現しようとしたら、 ぜんぜん言葉が出てこないなんてことがよくあります。 学校教育で考える力が伸びない理由がここにあります (もともと考える力があった人は教えなくても伸びるのでここでは除外して考えます)。 言いたいことがあれば先生の話を遮ってでも発言し、 自分が 「考えたつもり」 に陥っていないか常に確認する必要があります。

幸い、何を言っても許されるのが学生の特権です。 社会人だとキャリアに終止符を打ってしまいかねない発言すら、 学生なら 「若いから」 ということで許されてしまいます。 どうかこの特権をフルに活用して、 「自分の考えを発言する」 習慣を、 学生のうちに身につけてください

はじめに

・ ぜひ、この場でしかできないことを
  - 聞くだけなら、私のブログを読むだけで充分
・ 分からないことはすぐ質問
  - あとでググればいいやなどと思わないように
・ 言いたいことがあればすぐ発言
  - うまく言おうとしないこと
  - 最初は誰だって下手くそ。場数を踏んで上手くなる
・ 空気を読んではいけない
  - こんな発言したら浮く?とか考えていてはダメ
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ハワード・ガードナーの多重知能理論によれば、 人間は進化の過程で

  1. 言語的知能
  2. 論理数学的知能
  3. 音楽的知能
  4. 身体運動的知能
  5. 空間的知能
  6. 対人的知能
  7. 内省的知能
  8. 博物的知能

の8つの知能を発達させてきたとされます。

このうち、科学技術とりわけ IT 技術の進歩により 2, 4, 8 の知能はどんどん重要ではなくなりつつあります。 あと 10年ほどで大半の職業が消えるとか言われていますね。 また、現代社会においては (特定の職種を除けば) 3, 5 は、 さほど重要とは言えないでしょう。

残るは 1, 6, 7 ですが、 なかでも他の知能を伸ばすメタ知能ともいえる 「7. 内省的知能」 が一番重要でしょう。 すなわち、自分自身の 「心」 を理解してコントロールする能力です。 7 の能力を他者に対して発揮すれば 6 になりますし、 1 が重要なのは主に 6 のためですから、結局 7 が一番重要ということになります。

現代社会では何かというと 「自分の気持ち」 を重視する傾向 (自分の気持ち至上主義) がありますが、 自分の気持ちのままに生きれば、 内省する機会は失われてしまいます。 知能は繰り返し発揮することにより伸びるものですから、 内省する機会があまりなければ、 内省的知能が未発達のまま成長してしまうことになります。

(戦略2)
合理的に考える

・ 「お気持ち」 至上主義
  - 「いまのお気持ちは?」
  - 自分の気持ちを大切にしていてはダメ
・ もっと頭を使おう!
  - 使えば使うほど頭はよくなる
  - 授業を聞いているだけではダメ
・ 金融リテラシー = 「恐怖と欲望」 のコントロール
  - 内省的知能
失敗は成功の元
  - 成功できないのは 「失敗」 が少なすぎるから
  - リスクを負わなければ失敗も無い
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運を引き寄せ (戦略1)、 運を活かす能力を磨いたら (戦略2)、 最後に必要になるのが 「敵」 を知ることです。 これから社会に出ていく学生さんが、 当の社会のことを知らなければ出だしから躓くのは必至です。

残念なことに、ここでも学校教育はあまり有効ではありません。 先生がたは社会の矛盾点・問題点を追求することがお好きなようです。 もちろん批判的精神は重要ですし、 社会のあるべき姿を論じ、 学問の力で社会をよりよい形へ変革していくことは大学の使命とも言えるでしょう。

しかし学生さんはその 「社会」 の中でこれから生き抜かなければならないのです。 すでに 「エスタブリッシュメント」 な先生がたなら、 社会を批判しているだけでも周囲から一目おかれますが、 体制の後ろ楯もなく、 何の権力も持たない学生さんがいきなり社会を批判したって、 返り討ちに遭うだけです。 学生さんに今必要なのは、 理想社会の戯言ではなく、 現実の矛盾だらけ欠陥だらけの社会が実際にどう動いているか、 そして丸腰でそういう社会に飛込んで生き抜く方法です。

言うまでもなく現代社会は資本主義社会です。 お金の仕組みを知らずに社会に出ていくことは、 カモがネギをしょって出ていくようなものだと思うのですが、 どうして先生がたはそれを止めようとしないのでしょう? 特にウブな理系の学生さんは、 「優れた技術は高い給料で報われるべき」 などと考え、 社会に出ても自身の技術を磨くことばかりに夢中になってしまいます。 こういう勘違いは実に悲劇的だと思うのですが...

仮にも最高学府で学んでいる学生さん達が、 「努力は報われる」 などといったような素朴な労働観をいまだに持っていることに、 あらためて驚かされます。 製造業 (あるいは農林漁業) が産業の中心だった時代ならば、 労働者一人一人の 「努力」 が生産量の多寡に反映したこともあったでしょう。 労働者にとっても自らの努力の結果が目に見えるので、 努力の方向を間違えることはありません。 生産量が多い労働者の稼ぎが増えるのは合理的ですし、 周囲の納得感を得ることも難しくありません。

しかし今や企業の利益は数多くの労働者の連係プレーによって生み出されています。 技術者だけではお金にはなりません。 努力の結果がすぐに利益の増大という形で見えることは稀で、 あさっての方向の努力をしてしまうことも珍しくありません。 誰がどのくらい利益に貢献しているかなんて (合理的に) 測定することは不可能でしょう。 誰もが納得する利益配分なんて、 それこそ人月で測るくらいしか無いのが実状です。

努力の方向がズレていて残業ばかりしている (傍目には一生懸命努力しているように見える) 人と、 的確な判断のもと効率的に仕事を進めて短時間で仕事を終える (傍目にはあまり努力していないように見える) 人と、 どちらを評価すべきでしょうか? もちろん後者の方が会社に貢献しているのですが、 前者を冷遇すると納得感が失われて社内に不満が溜ります。

つまり、 資本主義が言うように、 給料は労働の対価ではなく、 単に労働力の再生産 (つまり労働者が次の日も納得して働いてくれること) に必要な 「コスト」 に過ぎません。 労働者の技術の優劣と、給料の高低との間に、直接の関係はありません。 もちろんモチベーション向上のために関連性を 「演出」 することはありますが、 結局のところ給料は多くの人が納得する 「相場感」 で決まってくるのです。 努力が報われないなんて、 そんな社会は間違っている!と思いたい気持ちは重々分かりますが、 実際の社会はそういう仕組みなのですから否定したところで始まりません。

努力を認めてもらいたければ、 「努力は報われるべきだ」 なんて受け身なことを言ってないで、 戦略的にアピールして昇給を勝ち取るべきです。 その際、 「労働力を売らない自由」 (後述) があると昇給交渉をより有利に進めることができるでしょう。

(戦略3)
(社会に出る前に) 社会を理解する

・ 学校では社会の問題点ばかりを学ぶ
  - 社会を変えようとする人ばかり量産している
  - 学問の力で社会を変革する、それは大事だけど…
・ 現実の社会=お金の仕組み
  - お金の仕組みを理解しないと搾取される人生に
  - 社会を知らない学生さんは 「カモネギ」
・ みんなの勘違い
  - 優れた技術には高い給料で報いるべき?
  - 給料は労働の対価ではない!
  - 搾取 ≠ ブラック企業
・ 労働分配率が上がっても消費へ回してしまう
  - 搾取され続け、一生 (嫌々) 働き続ける羽目に
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学生さんにとって、 とりわけ喫緊の課題は資本主義社会における 「搾取」 の構造です。 現代における 「搾取」 を正しく理解しない限り、 搾取の餌食になってしまいます。 社会を変革するどころか、 その遥か手前で力尽きてしまうことでしょう。

搾取というとすぐブラック企業を思い浮かべる人が多いと思いますが、 ブラックのレッテルを貼られた企業の業績があっと言う間に悪化したように、 給料を安く抑えようとする手法 (サービス残業とか名ばかり管理職とか) は現代社会においてはあまり賢いやり方とは言えません。 本当の、そして最も警戒すべきは、 搾取と気付かれないだけでなく、 むしろ進んで搾取されることを多くの人が望むような搾取です。

資本主義社会において労働者の立場が弱いのは、 自身の労働力を売らない自由が無い (辞めると生活できなくなる) からです。 通常の売買契約でも売り手が (安い価格でも) 売らざるを得ない (閉店時間間際の生鮮食料品売場とかが該当しますね) のであれば (足元を見られて) 損をするように、 労働力を売らないという選択肢が無ければ、 労働条件に不満があっても受け入れざるを得ません。

したがって、 半年くらいは働かなくても生活できる程度の貯金 (数百万円?) さえあれば、 労働者の立場は劇的に改善するはずです。 しかも、 昨今は給料を安く抑えようとすると、 すぐ 「ブラック」 のレッテルを貼られてしまいますから、 給料が生活費ギリギリということはあまり無く、 本来ならば貯金にまわす余裕があるはずです。

ところが、 給料が上がっても同じくらい支出も増えてしまってほとんど貯金できない、 という人がほとんどのようです。 給料半年分どころか、100万円の貯金すら無い人が多いとか。 いったい何にそんなにお金を使っているのでしょうか? 初任給が 300万円/年だった人が 400万円/年に昇給して、 何年たっても 100万円すら貯金できないというのは意味不明です。

お金をついつい使ってしまう人に是非考えてほしいのは、 資本主義の世の中では、 いかに消費者にお金を使ってもらうか必死に考えている人が大勢いるってことです。 ほとんど全ての場合において、 お金を使いたいと自発的に消費者が思っているのではなくて、 お金を使わせたいとあの手この手で誘惑している人がいて、 消費者はまんまとその策略に乗せられてしまっているだけなのです。

お金を使う決断をする前に、 はたしてその金額が自分の身の丈に合っているか考えてみるべきでしょう。 給料が少なかったときはお金を使わずに我慢できていたことであれば、 それは決して必需品ではありませんよね? 知能が先天的なものか後天的なものか本当のところはよく分かりませんが、 たとえ先天的なものが支配的であったとしても、 マシュマロを我慢する自制心は鍛えるべきだと思います。 「子どもでも大人でも自制心を育むことは可能」なのですから。

支出を増やしてしまうこと以上に問題なのが借金することです。 年収の 5倍もの借金をかかえて、 借金を返すためだけに働いているような人もたくさんいます。 まさに銀行の 「奴隷」 ですね。 なぜ身の丈を大きく超えるような金額の住宅を買わせようとするのでしょうか? 言うまでもなく巨額のローンを組ませて銀行が儲けるためです。

労働者が生み出した剰余価値を奪うことによって、 労働者を労働者階級に固定化することを搾取と定義するなら、 こうした貯金させない社会の仕組みこそが現代の搾取と呼ぶにふさわしいと思います。

(戦略3)
お金の仕組み

・ 給料とは労働力の再生産のためのコスト
  - 「努力は報われる」 はプロパガンダ
  - 報われるのはリスクを負った人のみ
・ 生産者になる前に一人前の消費者に
  - 小学生のころから消費の仕方を学ぶ
  - 時給アルバイトは時間の切り売り。生産ではない
・ 消費の誘惑に満ち満ちている = 搾取の構造
  - なぜ銀行は住宅ローンを勧めるのか?
  - なぜ保険会社は保険を勧めるのか?
・ 資本主義=労働者から生産手段を分離
  - 生産手段 (知能) を取り戻せ!
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以上 3点が、 私が意識せずに実践していた 「自分戦略」 です。 意識していなかったくらいですから大したこととは思っていなかったのですが、 ネット時代になって貯蓄額の世帯分布などを手軽に参照できるようになった昨今、 私と同じくらいの給料をもらっていたはずの人たちにおいても、 大した貯金があるわけではないことを知り、 驚いている次第です。

最初の 100万円を貯めるだけでも労働者としての立場は格段に向上するわけで、 強くなった立場を背景に給料交渉を有利に進めて自身の労働力の価格をつり上げ、 加速度的に貯蓄額を増やしていけば、 労働者階級を脱出する (= 働かなくても当面の生活には困らないし、 やりたい仕事を選べる) ことも現実的な目標となるはずです。 それなのに、 なぜ大多数の人が同様の戦略をとることができないのでしょうか?

「戦略1」 (選択肢を減らさない) は、 自分の適性を知るための戦略です。 世の中は 「自己分析」 が流行りですが、 ちゃんとしたコンサルタントとかに相談するならともかく、 素人の学生さんが一人でやってマトモな分析ができるはずはありませんよね?

「自分のことは自分が一番分かっている」 という思い込みが、 「戦略1」 を実践する障害になっているのではないでしょうか? 実際は、 自己評価より他人からの評価のほうが正しかったりするわけです。 こと自分のことになると、 心理的な防衛本能が働いて真実の姿が見えにくくなります。 自分のことを知るには、 あれこれ考えるより、 やりたいと思うことを実地にやってみるべきです。 とことんやってみれば自分の能力の限界がどのあたりにあるかも、 見えてくることでしょう。

「戦略2」 (合理的に考える) は、 自分の知能を向上させるための戦略です。 小学校から大学まで 16年 (大学院までいけば 18年も!) 学ぶのに、 考える機会がほとんど無いことに驚かされます。 学んでばかりいるから考える機会が失われているのかもしれません。 まさに 「学びて思わざれば則ち罔し」 ですね。

「考える」 という言葉は誰もが気軽に使いますが、 実際のところどこまで考えているでしょうか? ほとんどの場合、 考えているのではなくて悩んでいるだけだったりします。 自分の考えを主張している時ですら、 他の人の意見の受け売りに過ぎなかったりしますし、 そもそも 「自分の考え」 を表明する機会ってほとんど無いように思います。 facebook だって、 「今どんな気持ち?」 ですし。 ふつーに生活している限り、 気持ちを聞かれることはあっても、 考えを聞かれることは皆無ではないでしょうか?

映画 「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」 で、 「あなたの本当のお気持ちは?」 と聞かれたときのサッチャーの答がふるってます:

なに
私の気持ちってどういうことかしら
最近は考えより気持ちね
どんな気持ち
なんだか気持ち悪いわ
すみません我々の気持ちとしては
これは今の時代の大きな問題ですよ
人々は感情にばかり左右されて
考えやアイディアなんかはどうでもよくなって
本当に面白いのは
考えとかアイディアなのに
私が何を考えているか聞いて

このあと、 例の有名な 「自分の考えが言葉になる、言葉が行動になる、行動が...」 が続くのですが、 そこでは 「考え」 と 「気持ち」 が混同されていて、 私は何だか気持ち悪く感じます。 前段 (上記引用部分) と 後段 (自分の考えが言葉になる...) は、 同じ人の言葉とは思えません。 まあ、後段は 「父の口癖だった」 のかもしれませんが。

斯くして考える習慣がある人はどんどん知能を向上させていき、 習慣が無い人はどんどん差を付けられていく、 という二極化が進んでしまっているのでしょう。 経済的な格差ばかり注目される昨今ですが、 本当の格差は 「知能」 の格差であって、 経済的な格差はその派生物に過ぎません。

そして 「戦略3」 (社会を理解する) は、 金融リテラシーを身につけるための戦略です。 社会に関する誤った常識が、 社会の本質を理解する妨げになります。 お金を使わせたいと誘惑する側が、 誤った知識を広めようとしているのも、 妨げになっていますね。

誤った知識とは、 例えば 「賃貸より購入の方が良い」 といったようなものです。 その 「知識」 を広めようとしている人 (マンション開発業者とか不動産屋とか銀行とか) が、 その知識が広まることで利益を得ているならば疑ってかかるべきでしょう。 「毎月家賃を払い続けても永遠に家は自分のものにならないが、 ローンなら完済すれば家が自分のものになる」 などと言われて騙されてしまう人が沢山います。

家賃を払う人には安い家に引っ越して負担を減らす自由がありますが、 ローンを抱えている人には負担を軽減する自由はありません。 つまり選択肢を減らしてしまっているわけです。 したがって、 「購入 VS 賃貸」 という比較はナンセンスです。

「戦略3」 を実践する最大の障害が、 お金にまつわる感情です。 ほとんどの人が、 「お金がなくなる恐怖」 と 「お金がもっと欲しいという欲望」 の二つの感情に支配されていて、 お金について合理的に考える余裕が無くなっています。 これでは金融リテラシーを身につけることはできません。

「お金になんか興味はない」 「仕事が好きだから働いているんだ」 と言う人もいますが、 そういう人は今の仕事が好きでなくなったら、 働くのを辞めるのでしょうか? 辞めても生活に不自由しないのであれば問題ありませんが、 多くの人はそうではないはずです。 つまり 「興味がない」のではなくて、 お金について本当は考えなければならないのに、 それを直視できていないだけです。 心理学で言うところの 「否認」 ですね。 「仕事が好きだから働いているんだ」 は 「合理化」 (防衛機制の一つ) でしょう。

なぜ戦略的に動けないか?

・ 戦略1 ⇒ 自分の適性を知る
  - 自分のことは (他人のことより) 知るのが困難
  - 心理的な防衛機制が働く
・ 戦略2 ⇒ 論理的に考える力を鍛える
  - 直観や気持ちを優先してしまう
  - 自分の考えを発表する機会が皆無
・ 戦略3 ⇒ 社会の本質を見抜く
  - 「常識」 に囚われてしまう
  - 大人たちが 「カモネギ」 を狙ってる
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以上のように、 この 3点の戦略には、 それぞれ実践を難しくしている要因がありそうです。 ではなぜ私は実践できたのか?

やりたいことは先送りにせず、 とことんやってみる性格だったのが大きいように思います。 当時は計画的偶発性理論など知らなかったのですが、 何かやりたいと思うより先に行動していました。 やりたいと意識しないうちに、 気が付くと既にやっているみたいな感じで。 また、 知らないことを見つけるとすぐ首を突っ込んでいました。 コンピュータ分野に限らず、 数学、物理学、哲学、社会学、果てはテニスに至るまで、 自分に向いてるかどうかなんて考えずに、 やれるところまでやってみる、 ということを繰り返していました。 戦略1 (選択肢を減らさない) ですね。

中学校 (1979年) の部活動でマイコン部 (当時 PC は 「マイコン」 と呼ばれていました) に入ったのですが、 そのオリエンテーションで BASICっていう言語を使ってプログラミングをするという話を聞いて、 その日のうちに都心の一番大きい本屋へ出かけていって、 当時一冊しかなかった BASIC の入門書 「BASICで広がる世界」 (CQ出版社, 1979年発行) を買って一気に読み、 次の日にはもうプログラムを書き始めていたほどです。

子供のころから好奇心旺盛だった私ですが、 実を言うと考えることは不得手でした。 小学生の時はよく 「分かったつもり」 に陥っていました。 学校のテストで答案によくデタラメを書いたものです。 しかもデタラメを書いているという意識はなく、 自分は分かっていると思い込んで、 正しい答を書いているつもりだったのです。 中学一年生のとき数学のテストで赤点 (30点未満) をとったこともあります。

ところが中学生になって、 とても優秀な同級生が現れたのです。 彼は、一を聞けば十を理解する。 あまりに早く 「分かった」 というので、 信じられずに残りの九を説明しようとすると、 先回りして答えられてしまったほど。 そんな彼が 「分からない」 を連発する。 つまり 「分かった」 と言うのも早いが、 「分からない」 と言うのもとても早かったのです。

そんな彼を見て、 私は 「分からない」 と言えるのはカッコイイことなんだと思うようになりました。 なんとかして自分も、 「分からない」 と言えるようになりたい、 と思ったのでした。 いま思えば、 これが私の人生の転機だったのかもしれません。 戦略2 (合理的に考える) ですね。

以来、 考えるのが好きになり、 大学受験に失敗したのをいいことに、 浪人中の一年間に弁証法とか資本論とかの難しそうな本 (といっても初学者向けの教科書ですが) を手当たり次第に読みまくりました。 難しそうなテーマであればあるほどチャレンジしたくなったのです。 これが資本主義についてもっと知りたいと思うきっかけになりました。 戦略3 (社会を理解する) ですね。 実はこの時、 人文系の本を読みすぎたせいで、 文系へ転向しようかと思ったほどです。 プログラミングの方が好きだったので思い止まり、 結局一年目と同じ情報工学科を再び受験したのですが。

今から思うと、 お金を稼ぐ前に社会の勉強を始めたのは幸いでした。 浪人中はお金が無かったので、 消費したいという欲求が全く起きなかったし、 資本主義について学び始めた後は、 「搾取の構造」 を理解したので消費の誘惑に負けなくなったのです。 収入が増えても消費は増えなかったので、 収入の増分を丸々貯金することができました。 もし現役で大学に合格していたら、 順序が逆になって、 勉強を始める前にアルバイトでお金を手にして、 搾取の罠にはまっていたかもしれません。

いっぽう、 大学生のときパソコン通信や JUNET を知って (1989年)、 これを駆使すれば個人でも有名になれると思ってからは、 どうやって自分を売り込めばいいか考えるようになりました。 企業にとってブランドが最重要であるように、 個人にとってもブランドが資産になると考えたのです。 合理的に考えれば当たり前のことですよね。

もちろん最初は何をすれば自分を売り込めるのか見当もつかなかったのですが、 いろいろ試行錯誤しているうちに、 それなりに注目を集めることもできるようになり、 初めて書いたオープンソース・ソフトウェアである stone は、 そこそこ有名になりました。 私は 「stone の開発者」 として多くのかたに覚えていただけるようになったのです。 stone は私にとって最大の 「資産」 (収入をもたらす源) と言っても過言ではないでしょう。 無料で配布しているソフトウェアが最大の資産ってのが面白いですね。

浪人生の時に資本論をかじったこともあって、 大学生になってアルバイトで数十万円の貯金ができると、 すぐ株の売買を始めました (当時はオンライン取引というとファミコン・トレードだけで、 電話をかけて口頭で売買注文を出したり、 証券会社の窓口で注文したりしていました)。 当時 NTT が株式を公開 (1987年2月9日) したり、 ブラック・マンデー (1987年10月19日) が起ったりと、 世間的に株が注目を集めていたのも、 株の売買を始めようと思ったきっかけの一つだったのでしょう。

もちろん単位株での売買で大した金額ではなかったのですが、 学生にとっては大金です。 損を出すまいと必死になって経済の勉強をしました。 「お金がなくなる恐怖」 が勉強の原動力になったのです。 経済に対する理解が深まれば会社の経営に興味が湧いてくるのは必然で、 2000年に KLab(株) (設立当時の社名は (株)ケイ・ラボラトリー) 会社設立の計画を聞いたとき、 迷わず飛び付きました。

仮に起業が頓挫しても数年くらいは生活に困らない程度の貯金がありましたし、 当時も技術者は不足していましたから、 ここがダメでも再チャレンジの余地は充分あるだろうと思っていたので、 大企業の正社員という安定した 「地位」 を捨ててベンチャーに飛込むことに、 何の躊躇いもありませんでした。 まさに、 備えがあったからこそチャンスが訪れたのです。

私の自分戦略

・ やりたいことは先送りにせず、とことんやってみる
  - 中学1年の時以来、パソコンにのめり込む
  - 大学に入ってパソコンを 「自作」
  - 大学院生の時、個人事業主としてソフトウェア開発
  - 日立に就職後、本業そっちのけでネットインフラ整備
・ 自分ブランド
  - 大学で JUNET を知って (1989年) 以来、試行錯誤
  - stone の開発・発表 (1995年~)
・ 金融リテラシー
  - 小学生の時から株に興味を持ち、大学生の時から売買
  - 「金持ち父さん 貧乏父さん」 (2000年)
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それはベンチャーと技術者との出会いでした。 それまでベンチャーを興そうという人と技術者とでは興味の対象が異なり、 両者の出会いはかなり稀な事象でした。 2000年当時は、 創業メンバに アイディアマン, 技術者, マーケッタ という多様な顔触れが揃うベンチャーは珍しかったのです。 この会社が現在に至るまで発展し続けているのは、 創業メンバの多様性にこそあったのだと思います。 この偶然の出会いを 「単に運が良かっただけ」 と思うか、 それとも 「戦略的に計画された偶発的事象」 ととらえるか、 判断は読者のみなさんにお任せします。

Filed under: 元CTO の日記,自己啓発 — hiroaki_sengoku @ 09:36
2015年10月6日

米国 BYOD プリペイド SIM の GoSmart を使ってみた 〜 $35 で 30日間 かけ放題、4G データ 2.5GB 〜 hatena_b

私は米国 AT&T のプリペイド SIM を (毎年 refill して) 維持している。 日本に居るときは料金プランを月額料金が無料で従量制の 「10¢ / minute」プランにして残高が減るのを防ぎ、 訪米する直前に 「$60 Monthly」プランに切り替えて、 $60 で 30日間 4GB までのデータ通信ができるようにしている (通話・SMS は無制限)。

ところが今回初めて 30日間を超えて 35日間米国に滞在したので、 最後の 5日間ほどデータ通信ができなくなってしまった (通話は 「10¢ / minute」プランでもできる)。 もちろん、 二ヶ月続けて 「$60 Monthly」 を契約すればデータ通信できるのだけど、 たった 5日間のために $60 も払うのはモッタイナイ。 そこで、 最近米国で流行っている BYOD (Bring Your Own Device) SIM を買ってみることにした。

BYOD SIM を買ってから気付いたが、 訪米の 20日ほど前に AT&T の 「$45 Monthly」プラン (1.5GB までのデータ通信が可能) を契約し米国滞在中に (一度だけ) 自動更新すれば、 未使用データ通信量は一度だけ Rollover されるので、 二ヶ月分の計 3GB が利用できて、 二ヶ月分の料金 $90 で済む。
BYOD SIM で 500MB 以上のデータ通信を行なおうとすると月単位の料金プランを契約する必要があって、 最低でも (SIM 代金と月額料金の合計で) $40 くらいはかかるので、 AT&T 「$60 Monthly」 + BYOD で合計 $100 になってしまう。 AT&T 「$45 Monthly」 + BYOD なら合計 $85 だが、 1.5GB + BYOD だとちょっと心許無く、 $5 の差なら AT&T の 「$45 Monthly」* 2ヶ月 3GB のほうが好ましい。
とはいえ、 一度 BYOD SIM を使ってみたかったということで... (^^;)

(注) 後述するように BYOD SIM は今まさに価格競争が起きている。 近いうちに (現時点ですでに?) 結論は変わってくるかもしれない。 すなわち、プリペイド SIM は refill して維持するよりも、 訪米ごとに使い捨てたほうがいい、ということになってしまうかも? (もちろん、訪米頻度に依存する)

日本では BYOD は、 「企業における私物端末の持ち込み」 という意味に限定されて使われているが、 米国だと持ち込み先は 「企業」 に限らず、 「年間契約が不要なプリペイド・プランへ自分の端末を持ち込む」 という意味にも使われているらしい。

もちろん米国では何年も前から、 プリペイド SIM を単体で購入し、 (日本から持ち込んだ) SIM ロック・フリー スマホに入れて使うことはできた。 でも、 AT&T や T-Mobile などのショップで (英語を喋って) 購入する必要があり、 英語がニガテだとハードルが高い。 しかも ID (身分証明) が必要 (私の場合、 米国発行のクレジットカードを提示したらそれ以上は求められなかったが、 適当なものが無ければパスポートが必要かも?)。

それが昨今の BYOD SIM だと、 スーパーマーケットで日用品を買うのと同じような感覚で買えてしまう。 英語を喋る必要もなく、 単に商品棚から SIM を手にとって買物カゴに放り込み、 レジでお金を払うだけ。 まさにバナナを買うのと同じ感覚でプリペイド SIM が買えてしまう。 従来のプリペイド SIM のように refill して維持してもいいが、 これだけ手軽に買えるなら訪米ごとに使い捨てでもいい。

ただし、 Walmart などの (万引き防止策に熱心な?) スーパーマーケットだと、 (万引きされやすい) 一部の商品は什器 (商品棚) に固定されていて、 店員に (英語で) 頼まないと手に取ることすらできない。 気軽に商品を手に取れてこそのスーパーマーケットだと思うのだけど、 商品を引っくり返して裏面の説明を読むためだけに、 わざわざ店員を呼ぶのはいかにも億劫。 お客の買う気を減退させてどうする?と思うのだけど、 それだけ万引き被害が甚大ということなのかなぁ? そもそも SIM などの商品はギフトカードとかと同様、 レジで有効化しないと使用できないはずなので、 万引きの対象にならないんじゃなかったのか? とか思ったり (SIM にも 「Not active until scanned at register」 と書いてある)。

BYOD SIMs at Target

幸い、私が GoSmart BYOD SIM を買った TARGET (パッケージには $39.95 と書いてあるのに、 なぜか 4セント高い値段で売っていた) では、 どの SIM も自由に手にとって見ることができたので、 裏面の説明をじっくり読んで、 比較検討してから買うことができた (もちろん、TARGET で扱ってる SIM だけでなく、 Longs Drugs など他の店で扱ってる SIM も比較検討した)。

とはいえ、 裏面の説明には肝心なことが書いてない。 買って本当に誰でも (非居住者でも) SIM の activate 手続きを WWW だけで完結できるのか? activate 手続きの途中で身分証明 (SSN の入力とか) や (米国発行の) クレジットカードの提示を求められたりしないのか? 追加費用が発生したりしないのか? activate するには使用するケータイの IMEI を登録する必要があると聞くけど、 その登録したケータイ以外のケータイでも使えるのか? など不安の種は尽きない (→ 全部杞憂だった, 後述)。 まあ SIM 自体は $5 もしないので ($39.95 のパッケージに $35 の refill カードが含まれているので、 SIM 単体だと差し引き $4.95)、 ダメでもいいやくらいの気持ちで買ってみた。

GoSmart というのは T-Mobile の低価格プリペイド用ブランド。 速度を 3G に抑えることで料金を安くしているらしい。 この SIM は、 activate してから 30日間、 2.5GB まで 3G 速度でデータ通信できる。 私のケータイは日本で買った北米以外の地域向けの Nexus5 (LG-D821) で、 どのみち T-Mobile では 4G 通信できないので 3G で充分。

パッケージ表面に 「UNLIMITED 4G LTE FACEBOOK ACCESS, AT NO EXTRA CHARGE」 と書いてある。 LTE で接続しているときも 3G 速度に抑えるが、 facebook をアクセスするときは速度を制限しない、ということ? 3G で接続したときはどうなるんだろう? (→ 速くなった, 後述)

GoSmart SIM は、 TARGET の他、 ドンキホーテや街中のケータイ・ショップなどでも売っていて、 最近販売に力を入れ始めているように見える。 なお、 $35/月プランで 2.5GB のデータ通信が可能になったのは今年の一月末からで、 以前は 500MB だったらしい。

開封して説明書を読むと、 SIM の activate に必要なのは以下の 6点:

  • SIM Card Serial #:
  • Phone Serial # / IMEI #:
  • Area Code for Your Phone Number:
  • ZIP Code:
  • Pick a Security PIN (4 digits):
  • Refill Code:

「SIM Card Serial #」 は ICCID (IC Card IDentifier) のこと。 同梱されている SIM の表面に印字してある 19桁の数字。 「ICCD は最長 19桁」 だとする解説が日本語で書かれた WWW ページに多いが AT&T の SIM は 20桁だし、 正しくは最長 22桁らしい。

「Phone Serial # / IMEI #」 はケータイで 「*#06#」 をダイヤルすれば表示される。 どのケータイの IMEI (International Mobile Equipment Identity) を入力すべきか悩ましいところ。 私の常用スマホ Nexus5 には (この時点では) AT&T SIM が入っていたので、 それをいったん抜いて GoSmart SIM と入れ替えるのはメンドクサイ。 とりあえず遊んでる予備機 Galaxy Mega 5.8 Duos に GoSmart SIM を入れて Galaxy Mega の IMEI を登録したいところなのだけど、 もしここで登録した IMEI のケータイと GoSmart SIM が紐づいてしまって、 そのケータイ以外では使えなくなってしまうのだとしたら、 AT&T SIM の 「$60 Monthly」 プランの期限が切れた後の 5日間、 Nexus5 で通信できなくて Galaxy Mega の使用を強いられるのは困る。

まあ、 注意書きも無いのに勝手に紐づくなんてことは無いだろうと思いつつも、 万一に備えて (一時的に) Nexus5 の SIM を GoSmart に入れ替えることにした (AT&T SIM は Galaxy Mega へ)。

「Area Code for Your Phone Number」 で好きな地域の電話番号の局番を入力すれば、 その地域の電話番号を割当ててもらえる、 ということなのだろう。 ハワイ州なら 「808」。 日本だと携帯電話の電話番号は 「090」や「080」等で、 固定電話の局番とは別になっているが、 米国だと固定電話と同じ局番になる。

なぜここで 「ZIP Code」(郵便番号) を登録する必要があるのか分からないのだけど、 「Please enter your ZIP code so we can determine what area codes are available」 と言ってくるので、 入力した ZIP の地域の局番しか選べないのかもしれない。 素直に泊っているホテルの ZIP を入力したので、 別の州の ZIP を入力するとどうなってたかは不明。

「PIN」 は適当な 4桁の暗証番号を登録すれば良い。 カスタマーサポートに電話するとき、 本人認証するために用いるらしい。

GoSmart Refill Card

「Refill Code」 は同梱されている Refill カードの下方のマスク部分を削ると出てくる 10桁の数字。 ちなみに、 この 「マスク部分」 を 「スクラッチ」 と呼んでる WWW ページをやたら目にするのだけど、 どこからそんな誤用が広まったのだろう? 「スクラッチを削る」 って文を見ると頭痛が痛い (>_<)。

以上 6点の準備ができたので、 www.gosmartmobile.com をアクセスして、 「ACTIVATE ACCOUNT」 をクリック。 あとは準備した 6点を入力していくだけ。 名前や住所も聞かれるが入力が必須な項目ではない。 ところが、 以下 2点が必須入力項目:

  • Email
  • Alternate phone number

必須なら、 説明書に書いておくべきだと思うのだけど... 「Email」 は、(誰でも持っているだろうから) まあ良いとして、 「Alternate phone number」 は日本のケータイ番号でも構わないのだろうか? 私は Google Voice の番号を持っているので、 それを入力したのだけど、 GoSmart が米国での最初の電話番号になる人はどうすればよいのだろう? ここで入力した番号に電話がかかってくる様子もないので、 ホテルの電話番号でも入力しておけば良い?

説明書に、 「When asked to select a plan YOU MUST CHOOSE THE $35 UNLIMITED TALK, TEXT & HIGH-SPEED WEB PLAN without any additional features.」 と書いてあるので、 「Unlimited Talk, Text & Web + up to 2.5GB of 3G Web」プランを選ぶ。 WWW ページの文字列を説明書と一致させておいたほうが良いのではないかと思ったり...

最後に 「Refill Code」 を入力して無事 activate 完了。 さっそく SIM を Nexus5 へ入れてみる。 APN は 「fast.t-mobile.com」 のままでデータ通信できるみたい。 でも、びっくりするくらい遅い。 測ってみると 1Mbps も出ていない。 こんなんで (AT&T SIM の 「$60 Monthly」 プランの期限が切れた後の) 5日間を耐えられるのかなぁ? 同じ 3G でも AT&T SIM なら (同じ Nexus5 で) 5Mbps 以上出るのに。 ただ、 看板通り facebook へのアクセスだけは速い。 「UNLIMITED 4G LTE FACEBOOK ACCESS」 というのは LTE じゃない 3G 接続時も適用されるらしい。

ところが実際に使い始めてみると、 意外なほど遅さは気にならなかった。 画像など大量のデータを送受信するのは、 実は facebook がほとんどだった、ということなのか...orz ただし、 AT&T と比べて 3G が圏外になる頻度が高いのは、 (GoSmart に限らず) T-Mobile の不便なところ。 ちょっと郊外へ出かけるとすぐ 2G になるのはもちろん、 市街地でも建物の奥に入ると電波が弱くなり、 2G に落ちることもしばしば。

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Filed under: Hawaii,SIM — hiroaki_sengoku @ 07:00
2014年10月27日

シンガポール SingTel 3G プリペイド SIM を 4G へアップグレードしてみた

SingTel 3G Prepaid SIM

2012年2月にシンガポールで買ったプリペイド SIM カード
当時シンガポールでは LTE (4G) サービスが始まっていなかったが、 その後 2013年に SingTel と M1 は、 プリペイドでも LTE が使えるようになった。 ところが、 この SingTel の古い 3G プリペイド SIM カードでは LTE を利用することができず、 4G プリペイド SIM へアップグレードする必要がある。

もちろん、 わざわざアップグレードしなくても、 コンビニ等で新規に 4G プリペイド SIM カードを買えばよいのだが、 私の場合この古い 3G プリペイド SIM カードの残高が S$140 (約 12,000円) ほどあったのと、 この SIM の番号へ日本から電話連絡してもらう予定があったのとで、 古い SIM を使い続ける必要があった。

元々 S$28 のプリペイド SIM なのに、 なぜ S$140 も残高があるかというと、 この SIM をはじめほとんどのプリペイド SIM は、 一定期間以上チャージしないと無効になってしまうから。 この SIM の場合 S$20 チャージすると、 その時点から 180日間有効なので、 半年ごとに S$20 チャージし続けると、 5回チャージする (計 S$100) ことで、 購入から 2年半以上経った現在でも (同じ電話番号のままで) 使い続けることができている。

街中 (というかショッピングモール内) を歩いていて見かけた SingTel shop で、 4G SIM へのアップグレードの方法を店員に尋ねたら、 アップグレードは、 SingTel shop ComCentre (31 Exeter Road) でのみ可能とのこと。 Google Maps で調べると、 MRT (地下鉄) の Somerset 駅 (NS23) の南側に聳え立つ ComCentre (SingTel の本社ビル) の隣らしい。 近くなので行ってみた。

店内に入ると、 順番を待つ客でごった返していた。 (順番待ちの) 発券機があったので画面にタッチすると、 「Enter your NRIC/FIN」 と表示され、 番号を入力しないと先に進めない。 たかが順番待ちに、 NRIC (National Registration Identity Card) や FIN (Foreign Identification Number) を入力させるとは、 さすが管理国家 (>_<)。 もちろん一観光客 (ビザ無し) である私はどちらも持っていない。

通りがかったスタッフに 「4G SIM へアップグレードしたいんだけど?」 と (もちろん英語で) 聞くと、 「今日は特別な日 (たまたまこの日は Deepavali というヒンドゥー教のお正月) だから激混みで 2時間待ちだけどそれでもいいのか?」 と脅される。 待つなら発券機で番号札を取れと言うので、 「私は resident じゃないので NRIC を持ってない」 と言うと、 ポストペイ SIM かプリペイド SIM か聞いてきて、 「プリペイド SIM なら、向こうの Cashier へ行け」 と言われた。

SingTel ComCentre Cashier

へ? Cashier ? 順番待ちせずにアップグレードできるということなのかなぁ? Cashier って、 ケータイケースとかの、 お金を出すだけですぐ買えるような単純なものを買うところのように見えるんだけど... (後ろにケータイケースとか並べてるし)

Cashier 前に並んでいる人たちは、 ケータイ用のアクセサリ等を買うために並んでいるか、 あるいは既に相談カウンターで手続きが済んでいて、 お金を払う最終段階で Cashier に並んでいるように見える。 Cashier でアップグレードの手続きができるとは、 ちょっと信じがたい... それに、 Cashier には 10人ぐらい並んでいて、 Cashier といえどそこそこ待つ必要があるように見える (実際 10分かかった)。 待った挙げ句、 やっぱり番号札を取って順番を待てという結末になったら嫌だなぁと思いつつ、 ダメ元で並んでみた。

で、 順番が回ってきて、 Cashier のレジ係に 「4G へアップグレードしたいんだけど...」 と伝えると、 レジ係がメモ紙を出して、 「ケータイの電話番号を書け」 と言う。 お、 本当にここでアップグレードできるのか? いま使ってる 3G SIM の 8桁の電話番号を渡された紙に書くと、 レジ係が 「Mr. Hiroaki Sengoku, パスポートはいま持ってるか?」 と聞く。

う、 プリペイド SIM の電話番号だけで名前が分かるのか! と驚いたけど、 よく考えたら SIM を買ったとき (2012年) にパスポートを提示したのだから当たり前。 でも、 レジ係が簡単に SIM 使用者の身元を照会できてしまうのはいかがなものか? もし私が (間違えたフリして) 他人の番号を書いたら、 使用者の名前を聞けてしまう? 管理国家とはこういうことなのか?

パスポートを見せると、 「S$38 をチャージする形になるが構わないか?」 と聞かれた。 つまり、 いま S$38 (約 3200円) を払う必要があるが、 それはプリペイド SIM にチャージされ、 通話やデータ通信する料金として使うことができて、 アップグレード自体は無料ということ。 「もちろん」 と答えて、 S$38 を (クレジットカードで) 支払う。 すると、 間髪をいれず手元の Nexus5 (3G SIM が入ってる) に、 チャージ完了を知らせる SMS が届く:

From: 74445
Date: 2014-10-22 13:32

You have successfully topped up $38.00. New MAIN bal: $152.32, Expiry: 20/04/2015.Visit www.singtel.com/hi (no data charges!) or dial *363 to buy data plans or transfer airtime locally/overseas via hi!Share using your MAIN account bal.

新しい 4G SIM の代金として払った S$38 なのに、 アップグレードする前の古い 3G SIM に S$38 がチャージされるのは、 ちょっと変な感じ。

SingTel ComCentre Cashier

そして遂に、 新しい 4G プリペイド SIM カードをゲット。 Cashier の順番が回ってきてからここまで 3分もたっていない。 街中で新規に S$38 のプリペイド SIM を買うのとほとんど同じ。 古い 3G SIM の残高と電話番号を引き継げる。 新しい SIM はケータイ網に登録されるまで 15分ほどかかるとのこと。

店内の椅子に腰掛けて、 Nexus5 から古い 3G SIM を取り出す。 そして、 いま買ったばかりの 4G SIM を入れると、 まだ登録が済んでいないらしく圏外表示。 15分待ってもアンテナ表示が立たないので、 Nexus5 を再起動したらアンテナと 「LTE」 の文字が表示された。 ちなみに古い 3G SIM の返却は求められなかったし、 Cashier では Nexus5 に入れたままだったので提示すらしていない。

シンガポールは、 一人 3枚までしかプリペイド SIM を持てず、 一つのパスポートで 3枚のプリペイド SIM を買ってしまうと、 たとえ紛失したとしても 3枚の SIM が有効である限り、 それ以上 SIM を買うことはできないと聞く。 しかしながら、 4G へのアップグレードの際に古い SIM を持参する必要が無かったことを考えると、 例えば SIM のサイズを nano に変更するなどの理由があれば (無くても?)、 新しい SIM を 3枚制限の枠内で発行してもらうことが可能なのではないか? 紛失して有効期限満了まで待てない時など、 試してみる価値はありそう。

なお、 新しい 4G プリペイド SIM カード表面に、 「FREE 1GB DATA」 と書いてある通り、 7日間 1GB までのデータ通信が無料になるが、 私の場合は古い 3G SIM において既に 「7-Day $25 Ultimate 14GB Plan」 を購入済みだったので、 この 「FREE 1GB DATA」 は使われることなく無駄になってしまった (1週間以内の短期滞在なので)。 「7-Day $25 Ultimate 14GB Plan」 の 7日間が過ぎるか、 あるいは 14GB を使いきれば、 「FREE 1GB DATA」 も使えるのだろう。

Filed under: SIM — hiroaki_sengoku @ 18:19
2014年10月14日

お金と自由 〜 なぜ貯められないのか? tweets

先日、 立命館大学で 2, 3回生の学生さん達に講義する機会を頂きました。 せっかくの機会なので、 大学ではまず教わることが無いであろう 「お金」 の話をしました。 学生さん達が社会人になる前に、 是非ともお金について考えてみてもらいたいと常々思っていたからです。

お金も時間も足らないはずがない
(中略)
何でお金がなくなるんだろうって、そっちも不思議なんですよ。 日立ってそんな高い給料じゃないと思うんですけど、 入社当時、お金ってそんなに必要じゃなかったから、 あの安月給でもお金が貯まって仕方なかったんです。 お金が貯まらないって人は、 好きじゃないことにお金を使っているんじゃないの? って思いますね。
例えばですね、 すごく不思議だったから今でも覚えているんですけど、 同期入社の人が、入社早々、みんな車を新車で買ったんですよ。 もちろん好きだったら、買ってもいいと思いますよ。 レーサーを目指しているとか、 峠を攻めたいとかっていう人は買ったらいいと思うんです。
でもそんなに好きでもなくて、たまにしか車を使わないような人でも、 みんな車を買ったんで、不思議だなと思いましたね。 私に言わせるとありえないんですけど。 みなさん、好きでもないことにばっかりお金を使っているんじゃないですかね。

自由な時間は学生さんの方が持っていて、 お金は社会人の方が持っているという違いがありますが、 どちらも無駄遣いする習慣を身につけてしまうと、 一生取り返しがつかないように思うので、 ぜひとも人生これからの学生さん達に伝えたいと思っていました。

多くの人が、 学生時代は月に 10万円以下の生活費で暮らしていたにもかかわらず、 社会人になって急に毎月 20万円以上の 「大金」 を手にし、 いままでやらなかった (できなかった) 消費活動に走り、 お金があればあるだけ使ってしまうという悪い習慣に、 あっと言う間に染まってしまいます。 ひとたびこの悪習に取り憑かれると、 給料が上がっても、 上がったぶんだけ消費が増え、 いつになっても金銭面での余裕ができず、 何をするにもお金がネックになって、 お金に振り回される人生を送ってしまいます。 まさに 「お金は悪い主人である」 の典型ですね。

良い召使い or 悪い主人

・ 良い召使い
  - お金は自由を得るための手段
  - お金をどう使うか主体的に考える
  - チャレンジするための強力な道具
・ 悪い主人 (充分なお金が無いと...)
  - お金は生活の手段
  - 使い方を考えるまでもなく出費がかさむ
  - お金のために働く, お金に振り回される
  - お金を失う恐怖で、チャレンジができない
  - お金の不安がストレスに

日頃ストレスを感じると回答した人に、 その理由を尋ねると、 約 40% の人が 「収入や家計に関すること」 と回答しているそうです。 ストレスの原因としては他に、 「人間関係」 「健康状態」 「子育て」 なども挙げられていますが、 例えば、 職場の人間関係にストレスを感じていても辞められないのは、 転職したくても収入が不安定になるのが怖くて踏みきれないことが多かったりするわけで、 様々なストレスの遠因がお金 (が足らないこと) にあると言っても過言ではありません。

当座の生活に困らない程度の充分な蓄えさえあれば、 ストレスの多くは感じずに済み、 お金に振り回されるのではなく、 お金を 「良い召使い」 として使えるようになります。

そんなこと言ったって、 安月給なんだから貯められないのは仕方がない、 って声が聞こえてきそうですが...

充分なお金ってどのくらい?

・ 年収 300万円なら年 100万円以上貯金
  - 独身なら生活費は月 10万円程度で済むはず
・ 30歳までに 500万円
  - 100万円/年 * 5年
・ 40歳までに 4000万円
  - 350万円/年 * 10年
  - 年収 700万円以上あれば誰にでも貯められる
・ もちろん、やりたいことにはお金を使うべき
  - でも、昨今はお金をかけずに何でもできてしまう

独身で扶養家族を持たない人であれば、 学生時代と同程度の生活費で暮らすことが本来は可能なはずです。 しかも学費を払う必要がないのですから、 正社員であれば初年度においても 100万円以上貯めることは簡単なはずです。 その後、昇給もあるでしょうから、 30歳までに 500万円貯めるのは (正社員であれば) 誰にでもできることでしょう。

私は日立の安月給で 30歳までに 1000万円ほど貯めました。 寮費が月 2000円、 朝夕食は寮の食堂で昼食は社内食堂で食べ、 会社にいないときは寮に併設のコートでテニスをしている、 というほとんどお金を使わない生活をしていたからですが (^^)。

なお、 「お金を貯める」 「貯金」 は、 普通は銀行預金のことを意味しますが、 ここでは貯金してまとまった資産をつくり、 それを元手に投資することまで含むものとします。

その後、 給料が増えても生活レベルをあまり上げずに生活費を年間 200万円程度に抑えれば、 増えたぶんは丸々貯金できるはずです。 もし年収が 700万円以上あれば、 40歳までに 4000万円貯めることも決して難しくないはずです (私は 1億円近く貯めました ^^)。 貯金が 4000万円もあれば、 どれだけ生活にゆとりができるでしょうか。 ストレスの多くは感じずに済むのではないでしょうか。

ところが、 この程度の貯金すら、 ほとんどの人にとっては難しいようです。

なぜ貯められない?

・ お金に関する間違った常識
  - 持ち家は一生の財産 (ローンなら負債)
  - 生命保険は社会人の常識
  - お金は使ってなんぼ (うまく投資できればの話)
  - 「お金に働いてもらう」信仰 (貯めるのが先)
・ お金に余裕があると使ってしまう習慣
  - お金を使うことに慣れてしまう
  - 初任給から一ヶ月間が運命の分かれ道
・ 貯めるメリットが分かってない
  - そんなに貯めて何に使うの?

多くの人は貯金するどころか逆にローンという莫大な借金を抱えてしまいます。 家賃を払う人には安い家に引っ越して負担を減らす自由がありますが、 ローンを抱えている人には負担を軽減する自由はありません。 したがって、 「購入 VS 賃貸」 という比較はナンセンスです。 それなのに、 なぜ家賃を払うより 「お得」 と称して高額のローンを組ませるのでしょうか? もちろん、 銀行が儲けるためです。

扶養家族を持たない新卒社員に、 なぜ生命保険が必要なのでしょうか? 高額療養費制度により高額な医療費を支払ったときは払い戻しが受けられるのに、 なぜ医療保険が必要なのでしょうか? もちろん、 保険会社が儲けるためです。

銀行や保険会社以外も、 「お金は使ってこそ価値がある」 「若いときこそお金は自己投資すべき」 などと、 あの手この手でお金を使わせようとします。 でも、 まだ何の経験もない新卒社員に、 お金の有効な使い方が分かれば苦労はしません。 新卒社員にお金を使わせようと躍起になっている人たちが、 真に有効なお金の使い方を新卒社員に教えるでしょうか? もちろん彼らが教えるわけはなく、 教える義理もありません。 彼らが関心があるのは彼ら自身の儲けだけです。

お金を使わせようとする人以外にも、 「お金に働いてもらおう」 「投資に成功する方法」 など、 「儲かる」投資方法を伝授しようとする人もたくさんいます。 彼らがもし真に儲かる投資方法を知っているなら、 わざわざ他人に教えるのではなく自分で大儲けすればいいのにと思いますが、 わざわざ本を書いたり講演したりして、 わずかばかりの印税や講演料を稼いでいるわけです。 変だと思いませんか?

そういう本や講演にいちいちお金を使っていては彼らの思うツボです。 お金を払う前に、 著者あるいは講演者がどれほどの個人資産を持っているというのか、 調べてみるべきでしょう。 決して、 お金が勝手に働いてくれるわけではありません。 自分の頭で考えて汗をかいて有効な投資先を見つけ出し、 あるいは自分で創り出し、 リスクを取って投資し、 その報酬としてリターンを得るのです。

お金はいったん使ってしまうと歯止めが効きません。 使えば使うほど、 財布の紐は緩くなります。 近頃流行りのソーシャルゲームは、 いかにユーザに最初の 100円を払ってもらうかが腕の見せどころです。 いったん 100円を払ってしまったユーザは、 次の 1000円を払うのに躊躇しません。

世界中の大人達が寄ってたかってウブな若者にお金を使わせようと知恵を絞る中、 お金を使うのを我慢するのは至難の業ですが、 さらに周囲の同僚からも、 「ケチ」 だの 「そんなに貯めてどうするんだ?」 などと、 冷たい視線を浴びることになります。 ほとんどの人が、 お金を貯めるメリットを理解していないのだから仕方ありません。

お金を貯めるメリット?

・ お金を「良い召使い」として使える
  - お金 (生活) のためでなく自己実現のために働ける
  - お金の不安という最悪のストレスから解放される
・ お金 (定期収入) を失う恐怖を克服できる
  - 転職に踏み切れる, 何度でも勝負できる
・ 資本家と対等の立場に立てる
  - 自身の労働を売らない自由 (給料交渉では超重要)
階層の壁を越えるチャンス
  - (詐欺ではない本物の) うまい投資話に乗れる
  - まずは最低でも 1000万円。それ以下では相手にされない

労働者は自身の労働力を売らない自由が無い (辞めると生活できなくなる) ばっかりに、 資本家 (会社) との交渉において立場が弱くなってしまい、 (たとえ労働三法の庇護の下でも) 不利な条件を渋々飲まされるわけで、 「辞める自由」ってのは非常に重要だと思います。

また、 お金 (定期収入) を失う恐怖を克服して、 勝負する自由や、 お金を (生活のためでなく) 自己実現のために使う自由も重要でしょう。 ところが、私が 「お金を貯める最大のメリットは、 自由が得られること」 と話しても、 学生さん達にはイマイチ響かなかったように見えました。

お金を貯めるメリットが分からないというよりは、 自由の価値が分からない、 ということなのかも? と講義を終えてから思い当たりました。 (もし次の機会があれば) 今度はお金だけでなく自由の重要性についてもっと話してみようと思います。

(資本主義における) 給料が 「労働の再生産コスト」 に収斂するのは、 労働者に自由がないからであって、 もし労働者が自由を獲得すれば、 労働者が実際に産み出した 「(使用)価値」 に近いところまで給料が上がることが期待できます。 「労働の再生産コスト」 と同程度の給料でできるのは現状維持だけですが、 それより給料が高ければ 「剰余価値」 が労働者の側に蓄積し、 労働者階級から脱出する道が見えてきます。

階級格差は固定されたものではなく、 一労働者からスタートしても、 階層の壁を越えて資本家側に移ることは充分現実的であり、 お金を貯めれば貯めるほど、 その難度は下がります。 お金を貯めて 「壁越え」 に挑戦する人が増えることを願って止みません。 それこそが閉塞感を打ち破り、 活気に満ちた社会を取り戻す唯一の方法だと思うからです。

成功者を妬んで引きずり降ろそうと足の引っ張り合いをするのではなく、 成功者を正当に評価して後に続く人を増やすことこそが、 真の 「トリクルダウン」 (trickle-down) であり、 社会の成長エンジンになりうるのだと思います。

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Filed under: 自己啓発 — hiroaki_sengoku @ 00:00
2014年8月22日

ALS Ice Bucket Challenge tweets

(株)モノタロウの安井卓さんから ALS Ice Bucket Challenge のご指名を頂きました。もろチェーンメールなのがアレですが、同じ阿呆なら踊らな損々のノリで、謹んでお受け致します。残暑厳しき折、ちょうど氷水をかぶりたい心境でした。

次は、立命館大学の上原哲太郎先生、おごちゃん、歌手のファンキーコバ様 (五十音順) のお三方を僭越ながら指名させて頂きます。(私の限られた人脈の中で) なるべく異なる分野の方々へ広げたほうが面白かろうということで畏れながら選ばせて頂きました。

もちろん、チェーンメールが招きがちである悪影響を惹起せしめることは本意ではありませんので、ここでは ALS Ice Bucket Challenge について殊更に述べることは致しませんし (私なんぞがいまさら解説しなくても、みなさまとっくにご存知でしょうし、知らない人はググレカス、おっと失礼)、私が指名した方々に対して、そしてこの拙文を読んで下さる全ての読者の皆様に対して、いかなる行動についても強要ないし推奨する意図は 1ミリも御座いません。

いわんや、指名した方々がさらに次の人を指名してこの ALS Ice Bucket Challenge を拡散することをや、です。どんなに大義が大きくても足元が危うくなっては本末転倒ですし、大義が大きければ大きいほど、正義を振りかざせば振りかざすほどに、抑制が効かなくなって暴走しがちというのもまた現実でしょう。 いいか、絶対に拡散すんなよ。約束だぞ。

ALS Ice Bucket Challenge が、これだけ世間の注目を集めてしまいますと、賛否両論かまびすしくなるのは必然なわけでして、まあ他人様のバイラル・マーケティングの大成功が妬ましくなるのは重々分かるんですが、外で見ていてあれこれ言うより、踊る阿呆として楽しんじゃったほうが精神衛生上も世界平和のためにもいいんじゃないでしょうか? 同調圧力を吹き飛ばすには、笑い飛ばすことこそが重要と思う次第です。

で、実際にやってみると、コレすごく大変です (>_<)。 こんな短い動画でも見るのと作るのとでは大違い、という当たり前すぎることを痛感しました。 特に、氷水をかぶるのは不可逆過程ですから練習するわけにもいかず、一発勝負に...

なにごともやってみることは重要ですね。

Filed under: その他 — hiroaki_sengoku @ 14:46
2014年1月28日

台灣大哥大のプリペイド SIM のデータパッケージ型 (計量型 NT$180 1GB 30日) プランを日本から Web で購入してみた hatena_b

台湾のプリペイド SIM カードは、 購入する際パスポートの他に、 もう一点、身分証明書 (日本の運転免許証で OK) が必要。 他の国に比べて SIM 管理が厳しい (誰がどの SIM を購入したか当局が把握していると思われる) ので、 台湾を訪れるたびに SIM を新規に購入して使い捨てていると、 一人で何枚も購入した記録が残ってしまい問題があるかも?

台湾のプリペイド SIM カードは半年間チャージ (儲值, 充值, recharge, topup 等、 いろいろ呼び方はあるが要は SIM の残高を増やすこと) をしないと失効してしまうので、 半年以内に再び台湾を訪れるのでなければ、 日本でチャージを行なう必要がある。

幸い台灣大哥大 (Taiwan Mobile) の場合、 台湾滞在中にアカウントを作っておけば (アカウントが無くても可能かも? 後述)、 そのアカウントでログイン (登入) し、 Web 上でクレジットカード払いでチャージできるので、 私は失効前に (日本から) Web でチャージするようにして SIM を維持し続けている。 SIM を維持していると、 台湾を訪れたとき、 (空港等で) SIM を新規に購入する必要がないので便利。

台灣大哥大 SIM のデータ通信は、 1KB あたり NT$0.045 (約 0.16円) もかかる (100MB 通信すれば 16,000円!) ので、 計日型/計時型 (日単位/時間単位で使い放題) か、 計量型 (30日間有効なデータパッケージ) のいずれかの行動上網 (モバイル インターネット) プランを購入することになる。

計時型計日型上網費率 (時間単位・日単位で使い放題, データ定額)

プラン費用有効期限
1時間型NT$35申込み完了から 1時間
1日型NT$100申込み完了から 24時間
3日型NT$250申込み完了から 72時間
5日型NT$350申込み完了から 120時間
7日型NT$450申込み完了から 168時間
10日型NT$600申込み完了から 240時間
30日型NT$800申込み完了から 720時間

計量型上網費率 (データパッケージ)

プラン費用データ量有効期限
250MBNT$50250MB30日
1GBNT$1801GB30日
2GBNT$3002GB30日
3GBNT$4502GB30日

申込みは (台湾で) ケータイから 535 をダイヤルすることにより可能だが、 Web でもクレジットカード払いで購入できる。 台湾を訪れる前に日本でデータプランを購入しておけば、 飛行機を降りた直後からネットが使える。 計日型だと、 申込み完了直後から 「使い放題」 期間が始まってしまうので、 申込み完了から台湾に到着するまでの期間 (少なくとも約半日間) が無駄になってしまうが、 計量型なら有効期限が 30日間あるので、 台湾に行く前日にでも Web で申し込んでおけばよい。

今回の訪台は 3泊4日 (台湾滞在が 78時間くらい) だったので、 台湾到着直後に 3日型プランを申し込むと、 4日目の途中 (72時間後) から飛行機に乗るまでの数時間、 ネットが使えない時間帯ができてしまう (かといって 5日型だと丸一日以上無駄になる) ので、 計量型 1GB を購入してみることにした。 データ転送量が 1GB に収まるのであれば、 1GB NT$180 なので、 3日型 (NT$250) より安い。

計量型上網費率のページ (首頁資費&手機預付卡產品行動上網介紹計量型) において、 「線上購買」 (オンライン購入) のボタンをクリックする。 残念なことに英語版ページはないので、 中国語のページで購入する必要がある。

「立即儲值/查詢餘額」 (すぐにチャージ/残高照会) のボタン ↓ が下の方に表示されるのでクリック。 ログインしていない場合は、 「請選擇餘額查詢/網路儲值登入方式」 (残高照会/チャージするためのログイン方式を選んでください) と表示され、 「我要登入台灣大會員」 (台灣大哥大の会員としてログインする) か、 「我要快速登入」 (電話番号とパスポート番号でログインする) かを選択する画面が表示される。

24HR 預付卡網路儲值 查餘額・使用期限・網路儲值記録 立即儲值/查詢餘額

前者の場合は、 会員ID (登録したE-mailアドレス) とパスワードを入力してログインする。 後者の場合は、 (台灣大哥大の) 携帯電話番号 (手機號碼) と、 (SIM購入時に登録した) パスポート番号 (身分證號) と、 CAPTCHA (キャプチャ, 驗證碼) を入力する。 後者の場合、 アカウントが無くてもチャージできるのかも? あいにく私はすでにアカウントを作ってしまっているので、 アカウントが無い場合の実験ができない。 どなたか、アカウントを作る前にチャージできるか確認して頂けると幸い。

ログインすると表示される 「選擇商品與付款」 ページにおいて、 「儲值產品」 として 「行動上網」 の 「計量型」 の 「180元 1GB/30天」 を選択。 「付款方式」 として 「信用卡刷卡付款」 (クレジットカード払い) を選択し、 クレジットカード番号 (日本のクレジットカードで OK) と有効期限、 カード裏面の 3桁のセキュリティコード (CVV2/CVC2) を入力。 「Email通知」 に注文受領のメールを受け取りたいメールアドレスを入力。 以上を入力したら 「下一歩」 (次へ) をクリック。

すると、 「請再次確認以下資料是否正確」 (以下の内容が正しいか再度確認してください) と表示されるので、 問題なければ 「確認送出」 をクリック。

以下のような 「儲值成功」 が表示されれば成功。 注文受領のメールが届く。

您已完成線上儲值流程!
訂單編號         U14017XXXX
門號           0970-XXX-XXX
儲值產品         180元(180元 1GB/30天)
付款方式         信用卡刷卡付款
信用卡卡號        4541-58**-****-XXXX
授權時間         103年 01月 22日 下午22點 07分
Email通知        sengoku@gmail.com
收據資訊         二聯式電信收據
收據抬頭/收件人        SENGOKU HIROAKI
電信收據地址        台北市松山區敦化北路100號
儲值結果         儲值成功

同時に以下のような SMS も届くが、 台灣大哥大のプリペイド SIM カードはローミングに対応していないので、 日本にいる間は受け取ることはできない。 台湾に到着後ケータイの電源を入れたら、 以下のような SMS が届いていた。

From: 0935120867
Date: 2014/1/22 22:07 CST

電子儲值通知_門號0970XXXXXX儲值成功。查詢餘額及效期請手機直撥867;儲值上網產品者請於三十分鐘內收到開通簡訊再重開機即可手機上網

(拙訳) 電話番号 0970XXXXXX に対するチャージが成功しました。 残高および有効期限を参照するには、 ケータイで 867 をダイヤルしてください。 30分以内に開通を知らせる SMS が届きますので、 ケータイを再起動すれば、 すぐインターネットが利用できます。

クレジットカード払いでデータパッケージを購入する場合、 チャージと同じ扱いらしく、 SIM の有効期限が 半年後まで延長されていた。

続いて (14分後)、 以下のような SMS が届いていて、 データパッケージが利用可能になったことを知らせていた。

From: 0935120188
Date: 2014/1/22 22:21 CST

歡迎使用手機上網計量包服務, 手機重新開機即可使用, 服務結束是 2/21 23:59, 查詢餘量請撥*867*300#

(拙訳) ケータイ インターネット データ パッケージ の ご利用ありがとうございます。 ケータイを再起動すれば、 すぐご利用できます。 サービスの有効期限は 2/21 23:59 までです。 残りデータ量を参照するには、 *867*300# をダイヤルしてください。
Balance for the Mobile Internet is about 1017.98MB, and will expire on Feb 21 2014 23:59.

臺灣桃園國際機場 第二航廈 (台湾桃園国際空港 第2ターミナル) に到着 (1/23 11:48 CST) して、 facebook に書込んだり等、 ネットを一通り利用した後、 上記 SMS に書いてあるように 「*867*300#」 をダイヤルすると、 残りデータ量が 1017.98MB と表示された →

台湾ではまだ LTE サービスが始まっていないので 3G (HSPA+) での接続となるが、 ほとんどの場所で下り 10Mbps くらいは余裕で出ていて、 とても快適だった。 が、それ以上にホテルの無料 LAN (有線・無線) が快適で、 ホテルにいるときは Wi-Fi を使っていたので、 台灣大哥大 SIM では 300MB 程度しか使用しなかった (台湾滞在 3日と 6時間)。

テザリングして PC からネット接続するのでなければ、 1GB は一週間未満の短期滞在には充分なデータ量だと思う。 3日型 (NT$250) や 5日型 (NT$350) を購入するより、 1GB (NT$180) を購入するほうが安い。 同様に 10日型 (NT$600) より 2GB (NT$300) のほうが安いわけで、 計日型を利用する理由はほとんど無いのではなかろうか? 計量型だと事前に (出発前日に日本で) 余裕を持って購入しておけるので、 台湾到着時の (入国手続き等で) 忙しいさなかに購入しなくて済む、 というメリットも大きい。

Filed under: SIM — hiroaki_sengoku @ 09:23
2013年12月13日

nexus5 の充電をワイヤレス (Qi 給電) にしたので、バックアップもワイヤレスにしてみた 〜 ssh サーバを nexus5 上で動かす 〜 hatena_b

昨今の円安のため香港ドルが高い (>_<)。 昨年は 10円/HK$ 台だったのに、いまや 13円/HK$ を超えている。 香港 (に限らないが) の人たちが大挙して日本に買物に来る気持ちが分かる。 これだけ円安が進めば、 日本じゅうどこへ行っても、 全てのものが安く感じられるのだろう。

ARENA Scientific Icey QI Charging Pad

逆に、 日本人が香港へ行くと、全てのものが以前より 3割ほど高く見えるわけで、 物欲が萎えてしまいほとんど買物しなかった (おまけに、香港に行く直前に日本で nexus 5 を買ってしまったし)。 とはいえ、 香港までわざわざ行っておきながら何も買わないというのもアレなので、 Qi 充電器を買ってみた。 深水埗 黄金電腦商場 地下35號舖 Sunny Computer Digital Co 力生電腦數碼公司 →

HK$199 = 約2700円なので、 ちっとも安くない。 「おにぎり」 こと、 ワイヤレスチャージャー 03 なら 2200円くらいで売っているが、 「おにぎり」 の電源が専用アダプタであるのに対し、 これは汎用の micro USB ケーブルが使えるのでよしとしよう。

この Qi 充電器を USB ハブの余っているポートにつないで机の上に置き、 その上に nexus 5 を置く。 使ってみると想像以上に便利。 電話がかかってきたとき、 以前はいちいち USB ケーブルを抜いていたのだけど、 Qi 充電器ならサッと nexus 5 を手に取れるし、 電話が終わったら Qi 充電器の上に戻すだけ。 はやく全てのケータイが Qi に対応して、 喫茶店などのテーブルに Qi 充電器を標準装備して欲しいなどと思う今日このごろ。

充電がワイヤレスなのに、 PC との通信に USB ケーブルを使っていては片手落ちである。 私は普段 rsync を使って nexus 5 上のデータを丸ごと PC へバックアップしているが、 有線な adb (Android Debug Bridge) を使うのは止めて Wi-Fi を使うことにした。

ここで注意したいのは、 主導権を握る (コントロールする) のは PC 側でなければならない、 ということ。 スマホ側 (nexus 5) が主導して rsync を起動するアプリならすでにいくつか出回っているが、 PC が目の前にあるときに何が嬉しくてスマホの小さい画面をいじらなきゃならないのかと思う。 Qi 充電器の上に置いたら、 もう 1 タッチといえどスマホには触りたくない。 全ての作業は PC のキーボードで完結させたい。

つまり、 PC がクライアントとなり、 スマホをサーバとして扱いたい、 ということ。 サーバのキーボードやモニタはトラブル発生時でもなければ使わないのと同様、 家にいるときはスマホは充電器の上に置きっぱなしにしておきたい。 あるいは寝室専用になってしまっているスマホ (各部屋に一台以上、専用スマホ/タブレットが置きっぱなしにしてある) は、 寝室に置きっぱなしのままで (別の部屋の) PC から操作したい。 スマホを PC から操作できれば、 コマンド一発で、 家じゅうのスマホ (10台くらいある) をいっぺんにバックアップしたり、 相互にデータを同期させたり、 何でも思いのまま (^^)。

スマホをサーバとして扱うには、 スマホ上で ssh サーバを動かしておけばよい、 ということで早速 dropbear サーバ (軽量 ssh サーバ) と rsync を nexus 5 (だけでなく私が持っている全ての android スマホ) にインストールした。

以下、インストールのメモ:

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Filed under: Android,システム構築・運用 — hiroaki_sengoku @ 09:07
2013年12月3日

Nexus5 を買って、香港で LTE を使ってみた (中國移動香港 4G/3G 數據及話音 プリペイド SIM カード) hatena_b

LTE (Long Term Evolution) は、 サービス展開がこれからの国・地域も多く、 多バンドをサポートする端末というと iPhone 5c/5s (A1453 の場合 1, 2, 3, 4, 5, 8, 13, 17, 18, 19, 20, 25, 26 の 13バンド!に対応) くらいしか無いので、 私は今まで様子見してた。 例えば、 香港で売られている国際版スマホは、 バンド 3 (1800MHz), 7 (2600MHz), 8 (900MHz), 20 (800MHz) どまりなものが多く、 これではバンド 1 (2100MHz) が主に使われている日本では使いにくい。

ところが先月、 イーモバイルが Nexus 5 (LG-D821) を売り出した。 Nexus 5 の米国向けモデルである LG-D820 (1, 2, 4, 5, 17, 18, 19, 25, 26, 41 の 10バンドに対応) には見劣りするものの、 LG-D821 も 1, 3, 5, 7, 8, 20 の 6バンドをサポートしていて、 日本 (1, 3, 8) および香港 (3, 7) で使う分には問題無い (2, 4, 17 が無いので北米は厳しいけれど)。 もちろん SIM ロックフリー。 新規一括 39,000円で買うと、 月額料金を 2,660円割引してくれるらしい。 しかも Pocket WiFi LTE ルータ GL06P (3GB まで月額 580円) を契約すると、 Nexus 5 を 20,000円割引してくれるので、 香港で LTE スマホを買うよりずっと安くなってしまう (昨今の円安で、香港のスマホは、以前のような割安感が無くなっている)。

Nexus 5 が新規一括 19,000円で、 しかも月々 2,515円 (2年で解約しない場合、3年目以降は 6,230円/月) で 5GB まで使えるということなので衝動買い。 唯一の誤算は、 ソフトバンクからの MNP を考えていたのに、 イーモバイルはソフトバンク傘下ということで MNP しても安くならないどころか、 かえって高くなってしまう点。 仕方ないのでソフトバンクの契約を維持したままイーモバイルを新規契約し、 (電話番号を変えたくないので) それまで使っていたソフトバンクの電話番号への着呼を、 イーモバイルの電話番号へ常時転送するようにした。 Nexus 5 用の料金プランであるイーモバイル 4G-S プランは、 ソフトバンク ホワイトプランとの 1:00〜21:00 の間の通話が無料なので、 転送電話 (留守番電話呼出しなし) を設定していても、 (21:00 過ぎに電話をかけてくる人がいない限り) ほとんど料金がかからない。

SIM Card Shop at Ap Liu st.

スマホを買おうと香港へ行く計画を (イーモバイルが Nexus 5 発売を発表する前に) 立てていたのに、 行く直前に Nexus 5 を買ってしまい、 香港で買うものがなくなってしまった (^^;)。 が、 旅行をキャンセルするわけにもいかないので、 香港へ行って Nexus 5 (と Galaxy Note 2 LTE) で LTE を使ってみた

中國移動香港 4G/3G 數據及話音儲值卡 (CMHK 4G/3G Data & Voice Prepaid SIM Card) は、 HK$80 ぶんの度数が付いたプリペイド SIM カード。 額面は HK$80 だけど深水埗 (鴨寮街) などでは HK$50 (約 660円) で売っている (写真 →)。

SIM をアクティベートすると、 最初に行政費 (Administration Fee, 税金) HK$2 が差し引かれ (以降 30日ごとに HK$2 ずつ引かれる)、 5日間有効な 1.5GB データパッケージ HK$48 を購入すると、 残り HK$30 (= 80 - 2 - 48)。 これを通話 (HK$0.1/分) で使うと約 300分使える。 5日間までの短期滞在ならデータ通信も通話も、 これ一枚で充分だと思う。 もちろん、テザリングも (1.5GB までの範囲で) 可能。

データパッケージを申し込まないと、 1MB あたり HK$0.5 かかる。 一日 (香港時間 0:00〜23:59) の上限が HK$28 (約 370円) で、 それ以上は課金されないが、 一日の通信量が 1GB を超えると 128kbps に制限される。 一日だけしか使わないなら、 データパッケージを申し込まない方が安いが、 二日以上なら申し込むべき。 申し込む前に Nexus 5 が勝手に通信を始めたりしないよう、 あらかじめ 「モバイルネットワーク設定」 で、 データ通信を無効にしておくとよい。

China Mobile Hong Kong 4G/3G Data & Voice Prepaid SIM Card More...
Filed under: SIM,香港 — hiroaki_sengoku @ 13:11
2013年11月23日

nexus5 に ストラップを付けてみた ~テグスを使って~ hatena_b

ほとんどの人にとって無用なケータイ ストラップ。 iPhone を最右翼として、 最近の (海外製) スマホのほとんど (全て?) にはストラップを付ける穴 (ストラップ ホール) がない。 しかしながら (私を含めて) ストラップが必要と思う人にとっては、 ストラップが付けられないケータイは使う気がしない。 私が使うストラップは、 腰に付けたまま電話できる長いタイプ。 日本ではあまり見かけないので香港でまとめ買いした。 一本約 80円。 常に腰と結び付けたままなので、 ケータイをどこかへ置き忘れるということがないし、 頭の高さからケータイを落下させても、 ストラップが最大限に伸びたとき地面に激突しないような長さのものを使っている。

同じように考える人が少なくないようで、 ストラップ ホールが無いケータイに、 なんとかストラップを付けようと模索する WWW ページが沢山見つかる。 nexus 5 においても、 早速ストラップを付けた人がいるようだ。

しかし、 nexus 5 の裏蓋と nexus 5 本体との間には隙間がほとんどなく、 このページで解説されているようにストラップの紐 (直径 0.7mm くらいある) を間に挟むのは少々無理がある。 裏蓋には NFC や Qi (チー) などのアンテナがあり、 本体と裏蓋が密着していないとアンテナとの接触が不良になる恐れがある。

そこで、 nexus 5 の機能には極力影響を与えず、 もちろん nexus 5 を傷付けずに、 ストラップを付ける方法を考えてみた。

nexus5 with strap

幸い、 nexus 5 の下部には、 スピーカーとマイク用の穴 (直径約 0.8mm) が、 左右にそれぞれ 16個づつある。 しかもスピーカー穴の内部には、 スピーカーとの間に直径 0.5mm 程度の糸なら無理無く通せる空間がある。 内部がギッシリ詰まっている nexus 5 において、 この空間は例外的な存在。 そこで、 太さ約 0.52mm の 10号テグス (ナイロン ライン) をスピーカー穴に通してみた。↓

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Filed under: Android — hiroaki_sengoku @ 08:51
2013年11月8日

Z80 コンピュータを作ってみた (27年前のお話) tweets

往年の 8ビット・マイクロプロセッサー Z80。 最近の若い IT エンジニアだと知らない人も多い? 現在でも組み込み用途で使われているのに、 プログラマの高齢化が進んでいるらしい。 私がコンピュータを学んだ思い出深い CPU なので、 このまま忘れ去ってしまうのもモッタイナイ。 思い出せる限り記録に残しておこうと思う。 コンピュータを原理から学ぼうとする人の参考になれば幸い。

以下は、私が大学一回生のとき (1986年, 昭和61年) 独学で作った CP/M (Control Program for Microcomputer, パソコン用シングルタスク OS) マシンの記録。

私は高校生のとき (1983年)、 シャープ製パソコン MZ-80K2E改造しながら独力でデジタル回路を学んだ。 当時のコンピュータ雑誌 (工学社 「I/O」 誌) に掲載された MZ-80K の回路図が大いに参考になった。 1983年版 TTL IC 規格表を片手に MZ-80K の回路図を読み解いて、 コンピュータの仕組みを学んだ。

受験勉強そっちのけでデジタル回路の勉強にのめり込んでしまったので一浪する (1985年) はめになったが、 無事大学に合格した後はたっぷり時間があったので、 Z80 コンピュータを作ってみた。 MZ-80 に倣って当時これを HZ-80 と呼んでいたので、 以下 HZ-80 と呼ぶ。

HZ-80 の写真 ↓ (上面 / 下面)

HZ80

HZ-80 にはディスプレイもキーボードも無いので、 改造した MZ-80K2E とパラレル通信ケーブルで結び、 MZ-80K2E を端末として使用した。 写真 ↑ 中央に見える黒色の 40ピン ソケットに、 パラレル通信ケーブルをつなぐ。 MZ-80K シリーズは画面が横 40文字しか表示できないので、 (MZ 本体とは別に) 80文字表示できるビデオ信号生成回路を作り、 MZ-80K2E の CRT へ出力して、 80桁x25行キャラクタ表示端末として使っていた。

写真左手に見える 36ピン アンフェノール ソケット (セントロニクス仕様のプリンタ用と同じ形状) に、 (PC-8001/8801シリーズ用の) 5インチ フロッピー ディスク ドライブ (以下 FDD と略記) をつなぐ。

写真右手に見える赤と黒の端子に +5V のスイッチング電源をつなぐ。

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Filed under: ハードウェアの認識と制御 — hiroaki_sengoku @ 07:57
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