事業破綻の報道等で 「顧客 (サービス利用者) の保護」 という言葉をみかけることが多いが、 言語明瞭意味不明ワードの一つだと思う:
PHS の解約が予想以上に進み、 2月に 417万人だった契約者数は 6月末には 388万人に減った。 7月下旬に予定していた裁判所への再建計画提出も、 「環境が変わった」として 10月に延期していた。
管財人らは、顧客を守るためにも、再建には通信会社の協力が必要と判断。 XGPを引き受けるソフトバンクに、PHS事業への支援に加わるよう求めていた。朝日新聞 「ウィルコムのPHS事業縮小へ ソフトバンクが協力」 から引用
「顧客を守る」 などと書くと聞こえはよいが、 PHS サービス継続を望む顧客がどれだけいるかなんて、 「PHS の解約が予想以上に進」んでいることから明らかなはず。 現在 388万人(も) 契約者数が残っていると言ったって、 その大半は 2年縛りのせいで辞めるに辞められない人たちであって (私も 6月末時点だと契約者なのでこの 388万人に含まれている)、 現顧客にとって望ましいのはサービス継続じゃなくて 2年縛りを免除してあげることだと思う。
「顧客」 というと 「債権者」 というイメージが強いし、 この報道のように 「顧客を守る」 と書くとますます 「債権者たる顧客を守れ!」 というイメージが強調されるけど、 実状は 「辞めたいけど契約の縛りで払い続けざるを得ない債務者たる顧客」 と 「辞めていく顧客から少しでも多くの資金を回収したい債権者」 という (報道から受けるイメージとは真逆の) 構図であるわけで、 報道がいかに実状をゆがめたイメージを撒き散らしているかの一例だと思う。
私は丸 4年 (なのでちょうど解約可能なタイミングだった)、 ウィルコムの PHS サービスを利用してきた。 また自宅のバックアップ回線として 4年間近くウィルコムADSL を利用してきた。 なぜウィルコムだったかと言えば、 2006年当時まだ珍しかった 「スマートフォン」 W-ZERO3[es] を使いたかったから。 4年前ドコモショップで、 スマートフォンが使いたいから解約すると伝えたとき、 ドコモも近いうちにスマートフォンを出す予定 (hTc Z) と担当者が言っていたのを思い出す。
その後、 W-ZERO3[es], Advanced W-ZERO3[es], HYBRID W-ZERO3 と 3代続けて W-ZERO3 シリーズを使い続けてきたが、 HYBRID W-ZERO3 のあまりのデキの悪さ (そもそも電話の着信音 / バイブレーションが小さすぎて着信に気付けないのだから電話として失格) に幻滅し、 乗り換えを決意した次第。 輝かしい W-ZERO3 の歴史の最後の最後で欠陥品を出してしまうとは (私は使ったことがないが一つ前の WILLCOM 03 も失敗作だった?)、 いったいシャープに何が起こったのか?
iPhone を使いたいがためにソフトバンクに乗り換える人が圧倒的である昨今、 いまさら言うまでもないことだが、 (2006年ごろから?) 通信サービスは端末のオマケに成り下がったとつくづく思う。 いや、 端末ではなくコンテンツのほうがもっと大事だと言う人がいるかもしれないが、 そうなるのはもう少し先 (少なくともあと 3年くらい先)、 端末がコモディティ化した後の話だと思う。 少なくとも現時点では、 どんなに立派で魅力的なコンテンツでも、 それをユーザに届ける窓口である 「端末」 がヘタレであれば何の意味もない。
一般に解約するのは骨が折れる。 多くの場合、解約は電話のみの受付だったり、 解約通知書を郵送しなければいけなかったりと、いろいろ手間がかかる。 Web だけで契約が済んでしまう入会の時とは対照的。 しかも解約の方法は Web を丹念に見ていかないと見つけられなかったりする。 退会率を下げたいという事業者側の気持ちも (職業がら) もちろん分かるのだが、 解約方法を分かりにくくすればするほどサポートコストは増えるしユーザ満足度も下がるわけで、 結局事業者自身の首を絞めることにしかなってないと思う。
特に、 ウィルコムADSL の解約は大変だったので以下にメモ:
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